マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“軍事の文民統制”の原型

 ――政治と軍事とに関わる矛盾

 について、おとといの『道草日記』で述べました。

 

 簡単に述べなおすと――

 

 ――軍事は外交の一部であり、外交は政治の一部である。

 との社会的原理がある一方で、

 ――軍事を握った者が(外交を含む)政治を握ってきた。

 との歴史的経緯がある――

 という矛盾です。

 

 この矛盾を隠すには――

 おとといの『道草日記』で述べたように、

 ――軍事を握った者が政治を握った後で「政治は軍事に優越をする」という原理に従うこと

 が必要です。

 

 ところが――

 近代以降になると――

 軍事の技術が政治の技術よりも遥かに速く進んだために、

 ――政治を握りつつ、軍事も握る。

 ということが難しくなりました。

 

 軍事を握り続けるのに必要な知識や理解が格段に広まり、かつ深まったために、

 ――政治を顧みる片手間に軍事も顧みる。

 ということが難しくなったのです。

 

 よって――

 政治家は軍事の実務を軍人に任せる必要が生じてきました。

 

 先ほど、

 ――軍事と政治とに関わる矛盾

 を隠すには、

 ――軍事を握った者が政治を握った後で「政治は軍事に優越をする」という原理に従うこと

 が必要である――

 と述べました。

 

 つまり、

 ――軍事と政治とに関わる矛盾

 を――

 近代以降においても――つまり、政治家が軍事の実務を軍人に任せざるをえなくなった近代以降においても――隠し続けるには、

 ――軍人は政治家に従うこと

 との条件が常に満たされていなければならないのです。

 

 この構図が――

 いわゆる、

 ――軍事の文民統制

 の原型です。

 

 ここでいう「文民」とは、

 ――軍事の実務に携わっているわけではない政治家、あるいは、そのような政治家を支えている民衆

 という意味です。