クーデターが起こったミャンマーの情勢は、日を追うごとに混迷を深めていきますね。
とくにミャンマーの人々は、国内にいる人も国外にいる人も、ほぼ一様に怒っているようです。
国軍の総司令官であるミンアウンフラインさんが、
――今回の国軍による政権の樹立は、あくまでも憲法に則ったことであり、非常事態の期間が過ぎれば、すみやかに公正な総選挙を行い、そこで勝利を収めた政党に政権を譲る。
と言明をしているにも関わらず――
ミャンマーの人々は、ほぼ一様に怒っている――
……
……
おそらく――
ミンアウンフライさんの言明が信じられないのでしょう。
が――
僕個人は――
民主主義が脅かされていると警戒心を強めるミャンマーの人々には完全に同意をするものの――
ミンアウンフライさんの言明を、
(もう少し、信じていたい)
と思っています。
なぜか――
……
……
――今回のクーデターの背景には、国軍の総司令官であるミンアウンフラインさんと事実上の政権の首班であったアウンサンスーチーさんとの間の個人的な確執があったのではないか。
との指摘が――
識者によってなされています。
ミンアウンフライさんは、国軍の組織内部では、元来、穏当な民主派であり、民主主義の政治の良さに理解を示していたところ――
アウンサンスーチーさんが、憲法で規定はされていない役職――「国家顧問」という名の役職――に就くことによって事実上の政権の首班となったことには、強く反対をしていたのだそうです。
ミャンマーの憲法では、配偶者や子が外国籍の場合には、政権の首班――国家元首――にはなれないと定められています。
アウンサンスーチーさんは、亡くなった旦那さんが外国籍であり、その旦那さんとの間に生まれたお子さんも外国籍であるそうですから、憲法の規定によって、政権の首班にはなれないはずでした。
それなのに、
――国家顧問
という新奇の役職を設け、政権の首班の座に収まってしまった――
そのことが、ミンアウンフライさんには、どうしても許せなかったのではないか、との見方があるのだそうです。
……
……
もちろん――
真偽はわかりません。
が――
憲法の規定にない役職を設けて政権の首班の座に収まるというのは、ある意味、クーデターに準じるような、
――ズル
ですから――
今回、ミンアウンフライさんが、
――「クーデター」という名のズル
に踏み切ったとしても、多少の整合性は感じられます。
加えて――
国軍側が、
――去年の総選挙で不正があった。
と主張をしていて――
その調査を、政権側が頑なに拒み続けたらしいことも――
クーデターが起こった一因とみられているようです。
ミャンマーの選挙管理体制は、まだ十分には成熟をしていなくて――
例えば、有権者の登録にも怪しい点が多々あるのだそうです。
よって、
――総選挙で不正があった。
との主張を即座に退けることは、少なくとも理屈の上では、ちょっと難しい――
――調査くらいしてもよいではないか。
との不満が、ミンアウンフライさんの思いの根底にはあったのでしょう。
2人の確執は――
水面下で――
抜き差しならぬところまで達していたに違いありません。