マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

能動SETIで辿りうる最悪の転帰

 ――能動(active)SETI(Search for Extra Terrestrial Intelligence)

 の最大の問題は――

 運が相当に悪ければ、僕らの存在が根絶やしにされかねないことです。

 

 もし、本当に地球外知的生命体がいて――

 能動SETIの発信によって僕らの存在に気づき――

 僕らのことを多少なりとも調べた結果、

 ――この宇宙には存在をしていないほうがよい。

 と判断をされたら――

 僕らの存在は根絶やしにされるでしょう。

 

 能動SETIの発信は、現在の僕らの科学技術の限界のために、弱く拙いものになるということは――

 きのうの『道草日記』で述べた通りです。

 

 そんな発信にも気づける地球外知的生命体は――

 おそらく、僕らの文明の遥か先をいっています。

 

 そんな彼らが、僕らのことを見出し、

 ――駆除が必要だ。

 と判断をしたとして――

 いったい、どんな文句がいえるでしょうか。

 

 それは――

 僕らが現在、病原菌や害虫を取り除いているのと同じことです。

 

 きのうの『道草日記』で述べたように――

 能動SETIを試みる意義として、しばしば語られるのは、

 ――仮に、この宇宙に幾つも地球外知的生命体がいたとしても、我々・地球上知的生命体も含め、全ての知的生命体が、受信だけを考え、発信を怠っていたら、通信が成功をするわけはない。

 という見解です。

 

 それは、その通りです。

 

 が――

 この見解は、

 ――地球外知的生命体がいる。

 と仮定をして、

 ――地球外知的生命体がいる。

 と証明をしようとしている点で非自然科学的であるばかりでなく――

 

 ――最悪の転帰を辿る可能性

 に無頓着であるという点で社会科学的にも人文科学的合理性を欠いています。

 

 こう述べると、

 ――その可能性は、ごく僅かであり、無視をできる。

 との反論を受けるかもしれません。

 

 たしかに――

 最悪の転帰を辿った結果、被る損害が限定的であるならば――

 無視はできるでしょう。

 

 が――

 実際は限定的ではありません。

 

 僕らの存在が根絶やしにされるのです。

 

 おそらく、ヒトだけでなく、地球上に生息をしている生物種の殆どが、根絶やしにされます。

 ひょっとすると、「殆ど」ではなく「全て」かもしれません。

 地球という惑星それ自体が存在を消されるかもしれない――あるいは、太陽という恒星を中心とする恒星系それ自体が……。

 

 僕らの遥か先をいく文明であれば――

 それくらいは造作もないはずです。