マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

忘れられやすいブレイクスルーその2

 ――パラダイム・シフト(paradigm shift)に比べると、ブレイクスルー(breakthrough)は忘れられやすい。

 ということの例として――

 きのうの『道草日記』では、

 ――特殊相対性理論

 および、

 ――光の干渉法

 を挙げました。

 

 きょうは、

 ――自然発生説の否定

 および、

 ――微生物の培養法

 に触れます。

 

 ……

 

 ……

 

 ――自然発生説

 とは、

 ――生物は親から生まれることなく、自然に発生をすることがある。

 との仮説です。

 

 紀元前4世紀のギリシャの哲学者アリストテレス(Aristotle)が提唱をして以来――

 19世紀まで明確に否定をされることがなかった仮説です。

 

 一般的な動植物についてはともかく、顕微鏡でないとみえないような微生物については――

 誰もが明確に否定をすることができなかったのです。

 

 その否定をやってのけたのが、フランスのルイ・パスツール(Louis Pasteur)でした。

 有名な、

 ――白鳥の首フラスコ実験

 ですね。

 

 フラスコの首を白鳥の首のように細長く曲げて――

 外の空気は出入りをするけれども、微生物は出入りができない環境を作ることで――

 そのフラスコの中で微生物を含むあらゆる生物が自然に発生をしなことが示されました。

 

 これは――

 広い意味で、

 ――微生物の培養法

 という実験の技術の確立を示しています。

 

 ――微生物は生きていられるけれども、新たな微生物が外から入ってくることはない。

 という環境の設定です。

 

 この技術を究めたが、ドイツのロベルト・コッホ(Robert Koch)でした。

 パスツールより20歳ほど若かった人物です。

 

 コッホは、人体に微生物が侵入をすることで人体が病気を発することを示しました。

 いわゆる、

 ――細菌感染症の発見

 です。

 

 ――微生物の培養法

 というブレイクスルーが、

 ――自然発生説の否定

 や、

 ――細菌感染症の発見

 というパラダイム・シフトを起こしました。

 

 が――

 多くの人たちは、

 ――自然発生説の否定

 や、

 ――細菌感染症の発見

 のことは覚えていても、

 ――微生物の培養法

 のことは、うっかり忘れることが多いのです。