――出題者は匿名をやめたらよい。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
実際には――
匿名をやめるのは、けっこう大変なことのようです。
とくに、大学入学共通テストのような――あるいは、以前の大学入試センター試験のような――志願者の一生に甚大な影響を及ぼしうる入学試験の場合は――
その出題者の名前を公にすることで、様々なトラブルが予想をされます。
最も懸念をされるのは、試験実施前の問題の漏洩です。
これを防ぐために――
少なくとも出題者の公表は、試験終了後に行う必要があります。
が――
試験終了後に出題者の公表を行うにしても――
その問題で不利益を被った志願者が、後日、出題者に嫌がらせをするかもしれません。
そのような危険性を真剣に考えていくと――
出題者の引き受け手がいなくなる可能性も考えざるをえません。
誰だってトラブルに巻き込まれるのは避けたいものです。
それでも――
僕は、
(出題者は匿名をやめたらいいんじゃないか)
と思います。
では――
出題者の引き受け手がいなくなったらどうするのか――
……
……
そうならないように――
出題者の社会的地位を十分に高めておくことです。
現状では、教育機関の関係者が片手間の仕事として出題を請け負うことが殆どであろうと思います。
そうではなくて――
独立をした一個の職業として認めていく――
例えば――
裁判で判決を下す職業が、政治家や官僚、検事、弁護士などから独立をしているように――
入学試験の問題を作る職業も、教師や学者、事務員などから独立をさせる――
ということです。
そのように社会的地位を高めた上で――
実名を公にすることを前提に出題を請け負っていく――
もちろん――
実名を公にすることで、何らかのトラブルに巻き込まれる危険性は生じますが、その危険性は、社会全体で許容をしていくより仕方がないでしょう――ちょうど、判事の危険性が社会全体で許容をされているように――
……
……
(それくらい、入学試験の問題を作る職業は、社会にとって、重要なんじゃないか)
と、僕は思います。