民主主義に対して権威主義――あるいは、権威主義に対して民主主義――という構図を――
僕は、わりと普段から考えるようにしているのですが――
この、
民主主義 ←→ 権威主義
の対立関係は――
決して 0 か 1 かの二値的な差異に基づくのではなく――
なだらかで連続的な差異に基づいていると考えられます。
いいかえると――
例えば――
民主主義の極致として、
――直接民主主義
を考え――
権威主義の極致として、
を考えるときに――
これら2つの極致の間に、現在、実在をしている民主主義や権威主義の殆どが配置をされうる――
ということです。
ここでいう、
――直接民主主義
とは、
――あらゆる政策が参政権の保持者の全員による評議ないし投票によって決定をされる体制
を支える考え方です。
この体制は「直接民主制」と呼ばれ、古代以降、衆愚政治を容易に招きうると喝破をされたことによって、21世紀序盤の現代では、非現実的な体制と考えられています。
一方、
とは、
――あらゆる政策が君主の独裁によって決定をされ、その君主の地位は世襲をされる体制
を支える考え方のことです。
この体制は「世襲君主制」と呼ばれ、近代以降、いわゆる市民革命を支える考え方によって否定をされ、21世紀序盤の現代では、前近代的な体制と考えられています。
現在、実在をしている民主主義の殆どは直接民主主義ではなく、また、実在をしている権威主義の多くは世襲権威主義ではありません。
民主主義は民主主義でも、参政権の保持者の全員によって代議士が選ばれている民主主義であったり――
権威主義は権威主義でも、君主の裁量に憲法や議会が何らかの制限を加えている権威主義であったり――
するのです。
何がいいたいかというと――
僕ら、しばしば、たんに、
――民主主義
とか、
――権威主義
とかといったりしますが――
実際には――
純粋な民主主義――民主主義の極致――は存在をせず、また、純粋な権威主義――権威主義の極致――も存在をしない――
ということを決して忘れてはならない――
ということです。