マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

アメリカ独立戦争が物語の題材になりにくい理由

 ――独立戦争

 は、物語の題材としては、かなり微妙といえる――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 例えば――

 独立を求める側が、独立を認めない側によって、

 ――次々と殺戮をされていく。

 といった設定でも加えない限り――

 独立戦争の物語が広く共感を呼ぶことはなさそうである、と――

 

 あるいは、

 ――理不尽な重税を課せられていく。

 といった設定くらいでは、なかなか共感を呼びにくい、と――

 

 ……

 

 ……

 

 ――独立戦争

 というと――

 18世紀後半のアメリカ独立戦争が真っ先に思い浮かびます。

 

 当時、北アメリカ大陸に存在をしていたイギリスの植民地の人々が、イギリスに対して独立を求めた戦争です。

 

 真っ先に思い浮かぶにも関わらず――

 このアメリカ独立戦争――

 実は、あまり物語の題材になっていません。

 

 まったくなっていないわけではありませんが――

 そんなに目立っていない――

 

 ……

 

 ……

 

 その理由は何かというと――

 

 おそらく――

 この独立戦争の発端です。

 

 アメリカ独立戦争は――

 独立を求めるイギリスの植民地側が、独立を認めないイギリスの本国側によって、

 ――次々と殺戮をされていく。

 といった出来事が発端になっているのではなく――

 

 ――理不尽な重税を課せられていく。

 といった出来事が発端になっているのですね。

 

 ――不当な扱いを受けている。

 と感じたイギリスの植民地の人々が、不満を溜めこみ、武装をして――

 ついに、イギリスの本国の指示で武器庫の接収を試みていた軍隊に対して攻撃を加えます。

 

 これによって戦端が開かれ――

 アメリカ独立戦争は勃発をしたのです。

 

 先に暴力をふるったのは――

 独立を認めない側ではなく、独立を求める側でした。

 

 もし―― 

 独立を認めない側が先に暴力をふるっていたのであれば――

 アメリカ独立戦争のその後の捉えられ方は随分と違ったものになっていたでしょう。

 

 物語の題材に盛んに取り入れられていたのではないかと思います。

 

 が――

 実際には、独立を求める側が先に暴力をふるった――先に武力に訴えた――先に人と人との殺し合いに持ち込んだ――

 

 今日――

 アメリカ独立戦争が物語の題材となりにくいのは――

 そうした背景によるのではないかと感じます。