マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

自然知能の“指令体系”が言語化をされる可能性

 人工知能に、

 ――プログラム(program)

 という名前の指令体系が存在をしているように――

 人の知能を含む自然知能にも――

 それに該当をしうる何らかの体系が存在をしているのでしょうか。

 

 そして――

 そのような体系が、もし自然知能にも存在をしているならば――

 それは、人工知能の指令体系と同じように――つまり、プログラムのように――何らかの言語によって表しうる体系なのでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 何だか雲を掴むような話にも思えますが――

 

 僕は―― 

 自然知能にも、人工知能の指令体系に該当をしうる何らかの体系が存在をしていて――

 それは、人の言語によって――おそらくは人工言語によって――表しうるに違いないと思っています。

 

 そのような自然知能の“指令体系”の言語化は――

 21世紀序盤の現代では、まさに雲を掴むような話なのですが――

 あと 100 年もしたら――いや、ひょっとすると、あと 30 年もしたら――

 自然知能の“指令体系”が言語化をされている可能性があるのではないか、と――

 僕は考えています。

 

 かつて――

 遺伝情報について、似たような状況から言語化に成功をしました。

 

 いわゆる分子生物学以前の時代――1960年代頃まで――では――

 親から子へと伝わる遺伝情報を何らかの言語で表すことなど、まさに雲を掴むような話であったといいます。

 

 当時の研究者たちは――

 試験管の中に単離をした遺伝物質らしきものを眺めながら、

 (こんなもん、どうやって研究したらいいんだ?)

 と悩んだそうです。

 

 が――

 遺伝物質が核酸という生体高分子であることが判明をし――

 その生体高分子の塩基配列が遺伝情報に相当をしているらしいということが判明をすると――

 遺伝情報の言語化が――正確には、「遺伝情報の記号化」が――少なくとも原理的には、それほど困難でないことに――

 研究者たちは直ちに気づきました。

 

 核酸塩基配列が、だいたい 4 種類であり――

 それら塩基配列の各々に記号を当てることによって――

 研究者たちは、遺伝情報の言語化に成功をしたのです。

 

 2000年には、ヒトの遺伝情報の全体(human genome)が言語化をされていました。

 分子生物学が本格的に創始をされてから約 30 年後のことでした。