マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

自然知能の“指令体系”の言語化に必要な前提

 人の知能を含む自然知能にも、人工知能の指令体系――つまり、プログラム(program)――に相当をする何らかの体系が存在をしていて――

 その体系の内容は、人の言語によって――おそらく、人工言語によって――表されうるに違いない――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 そのような自然知能の“指令体系”の言語化には、少なくとも2つの前提が必要です。

 

 一つは、

 ――ヒト・コネクトーム(human connectome)

 が判明をしていることです。

 

 ――ヒト・コネクトーム

 については、2021年11月5日の『道草日記』で触れました。

 

 ――ヒトの神経系を成す全ての神経細胞の接続の状態

 のことです。

 

 ヒト・コネクトームの全容が細部にわたるまで正確に記録をされないと――

 当然のことながら――

 ヒトの神経系を司っているはずの“指令体系”を人工言語で書き記すことなど、できるはずがありません。

 

 さらに、もう一つ――

 どうしても必要な前提があります。

 

 それは、ヒトの神経細胞の一つひとつについて――

 それら細胞の活動の規則性を正確に見出すこと――

 

 その際に――

 それら細胞は、あくまでもヒト・コネクトームの一部に組み込まれたままの状態で観察をされなければなりません。

 

 ヒト・コネクトームから単離をされた状態では――

 いくら詳細に観察をされたところで――

 人の知能の“指令体系”の言語化には、たいした役には立たないでしょう。

 

 以上の2つの前提が満たされれば――

 自然知能の“指令体系”に内実に多少なりとも迫れるとは思うのですが――

 

 はたして――

 これら2つの前提だけで十分なのかと問われると、

 ――大いに怪しい。

 と答えざるをえません。

 

 ヒト・コネクトームも神経細胞の活動の規則性もハードウェア(hardware)です。

 一方、自然知能の“指令体系”は、あきらかにソフトウェア(software)です。

 

 ハードウェアの活動の規則性が細部にいたるまで全てわかれば――

 ソフトウェアの中身についても何らかの知見が得られるでしょうか。

 

 その予測は容易ではないように――

 僕には思えます。