――恋(こい)を愛で包むのは難しい。
と、きのう、のべました。
――自分が恋をしている人のことを大切にするには、我慢(がまん)が必要である。
と――
あるいは、
――自分に恋をしている人のことを大切にするには、覚悟(かくご)が必要である。
と――
なぜ我慢や覚悟が必要なのか――
……
……
それは――
そう簡単(かんたん)には、わからないことなのですが――
言葉で表すだけなら、わりと簡単です。
自分が恋をしている人のことを大切にするのに我慢(がまん)が必要である理由は――
自分が恋をしている人も、同じように自分に恋をしてくれるとは、かぎらないからです。
自分の強く熱い恋の気持ちをおさえつつ、相手も自分と同じような気持ちになってくるのを、じっと待っている必要があります。
短くても数日間――
長ければ数年間くらい待たないといけない――
その結果――
自分と同じような気持ちには、ならないかもしれない――
そうなることを、
――失恋(しつれん)
といいます。
――失恋
になったら――
自分の気持ちを、無理にでも変えないといけません。
――あの人と、いつまでも一緒(いっしょ)にいたい。
と思っていたのを、
――まあ、一緒にいなくてもいいか。
と思いなおさないといけない――
ところが――
そんなふうに自分の気持ちを変えるのは――
けっこう大変なことです。
たいていは、
――変える。
のではなく、
――自然と変わるのを待つ。
ということになります。
恋の気持ちというのは――
簡単には消えてくれないのです。
短い人でも数か月間はかかります。
長い人だと 1 ~ 3 年はかかってしまいます。
それまでの間――
自分の本当の気持ちに、ずっとウソをつきつづけないといけない――
これは、かなり苦しいことです。
世の中には、
――恋の歌
が、たくさん歌われています。
それら歌の多くは、
――自分の本当の気持ちにウソをつきつづける苦しさ
を歌ったものです。
――それだけ苦しい。
ということです。
『10 歳の頃の貴方へ――』