マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ロシアもウクライナも悪い?

 ロシアとウクライナとの戦争について、

 ――ロシアとウクライナと、いったい、どっちが正しくて、どっちが悪いんだろう?

 という疑問(ぎもん)に答えるのは、とても難(むずか)しい――

 と、きのう、のべました。

 

 この疑問に答えるのは――

 実は、一見、簡単(かんたん)なのです。

 

 きのうも、のべた通り、

 ――どんな理由があるにせよ、外国へ軍隊を送って、むりやり自分たちに従(したが)わせようするのは、人として、おかしい。

 という考えを、多くの人たちがとっています。

 

 つまり――

 多くの人たちが、

 ――ロシアが悪い。ウクライナは悪くない。

 と考えています。

 

 この考えは、たしかに、もっともらしいのですね。

 

 が――

 この考えを「もっともだ」とすると――

 当然のことながら、

 ――悪いロシアは、こらしめないといけない。悪くないウクライナを助けないといけない。

 と、いわざるをえなくなります。

 

 そうしたら、どうなるでしょう。

 

 ロシア以外の国は全て、ロシアをこらしめ、ウクライナを助けることになる――

 

 そうしたら――

 ロシアの人たちは面白くありません。

 

 ますます、意地をはって、ウクライナとの戦争をつづけようとするでしょう。

 

 戦争がつづけば、多くの人たちが殺(ころ)されつづけます。

 

 戦争は、

 ――殺しあい

 であるからです。

 

 つまり、

 ――ロシアが悪い。ウクライナは悪くない。

 と考えることは――

 この戦争で殺される人たちの数を、いたずらに増(ふ)やしているだけかもしれないのです。

 

 同じ理由で、

 ――ウクライナが悪い。ロシアは悪くない。

 と考えることも、殺される人たちの数を増やすだけでしょう。

 

 では、

 ――ロシアもウクライナも悪い。

 という考えは、どうでしょうか。

 

 これは日本の人たちが好きな考えです。

 

 日本には、古くから、

 ――喧嘩(けんか)両成敗(りょうせいばい)

 という言葉があります。

 

 ――喧嘩をしたら、理由を問わず、どちらもこらしめる。

 という意味です。

 

 この考えによれば、

 ――ロシアもウクライナも悪い。

 となります。

 

 実際(じっさい)に――

 ロシアとウクライナとの戦争が始まってすぐのころ――

 日本では、

 ――ロシアもウクライナも悪い。

 という意見が、わりと多くきかれていました。

 

 が――

 外国では――

 そのような意見は、ほとんどきかれませんでした。

 

 ――喧嘩両成敗

 というのは、日本以外の国の人たちには、なじみがうすいのです。

 

 むしろ、

 ――なにごとも、あいまいにすませようとする日本の悪いクセだ。

 と批判をされました。

 

 ――先に殺しあいを始めたほうが悪いに決まっている。そんな簡単なことが、なぜわからないのか。

 と――

 

 ……

 

 ……

 

 それで――

 きのう、のべた通り――

 ぼくは、

 ――ロシアもウクライナも悪いけれど、ロシアのほうがウクライナよりもずっと悪い。

 と考えることにしているのです。

 

 ――ロシアとウクライナと、いったい、どっちが正しくて、どっちが悪いんだろう?

 という疑問に答えるのは――

 本当に、

 (とても難しい)

 と思っています。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』