やることなすこと、全て順調にいっている人――つまり、順境にある人――が、つまらないことで失敗をすると、
――ああ、もったいない!
と多くの人たちが嘆くのですが――
(そうではない)
と、僕は思っています。
――ああ、やっぱり……。
というのが妥当な嘆き方である、と――
人は――
逆境ではなく順境でこそ、つまずくものです。
逆境では――
人は否が応でも慎重になる――
それゆえに――
むしろ、つまずかない――
が――
順境では――
人は、つい大胆になってしまう――
それゆえに――
うっかり足元をすくわれる――逆境では考えられないような凡ミスをしてしまう――
よって――
つまづいた人たちをみていると――
つい思うのです。
(きっと今までは、ずっと順調だったんだろうな)
と――
こんなことを述べると、
――なんと意地悪な……。
と誹られるかもしれませんが――
でも、
(しょうがない)
と思っています。
たぶん、それは真実だから――
つまずいたということは――
その直前まで、その人は順境であったに違いないのです。
自分自身のことを振り返っても――
(たしかに、そうだ)
と思えます。