マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

人は形態から構造を安易に思い浮かべてしまう

――構造 は、 ――機能 と、 ――形態 とを合わせた概念である、ということを―― この『道草日記』で、しばしば前提にしています。 が―― 実際には、 ――形態 の意味で、 ――構造 が使われることもあり―― また、 ――機能 の比喩として、 ――構造 が使われることもあるの…

「解剖生理学」に触れる度に思い浮かぶ人物

――いわゆる医学は、解剖学と生理学とが混然一体となって始まった。 ということを、おとといの『道草日記』で述べました。 ――その後、それぞれ“純粋解剖学”と“実験生理学”とに分化をしていった。 とも―― …… …… 面白いことに―― 現在―― 少なくとも医学教育の世…

“理論生理学”が産声をあげるとき

――そのうちに実験生理学から「理論生理学」が分派をするかもしれない。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 実をいえば―― 今日においても、 ――理論生理学 を名乗る研究が存在をしていないわけではありません。 数学やコンピュータを用いて種…

生理学は、「観察生理学」から「実験生理学」へ――「実験生理学」から……。

――解剖学は、「観察生理学」から「純粋解剖学」へ ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 ここでいう「解剖学」とは―― 古代ギリシャ・ローマの頃の解剖学であり、生理学と混然一体になっていた頃の解剖学のことです。 この解剖学が“観察生理学”…

解剖学は「観察生理学」から「純粋解剖学」へ

――解剖学は、そもそも「観察生理学」と呼ばれるのが妥当であった。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 17世紀序盤のイギリスで「血液循環」説を唱えたウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)は、「医学史上、最初の生理学者」と目されて…

解剖学は「観察生理学」――

――17世紀序盤のイギリスで「血液循環」説を唱えたウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)は、きわめて解剖的な手法で研究を行っていた。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 このことは―― 何を示しているかというと―― ――そもそも「解剖学…

ハーヴィーの手法は、きわめて解剖的――

――17世紀序盤のイギリスで「血液循環」説を唱えたウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)は「医学史上、最初の生理学者」と呼ばれることが多いのであるが、その理由は、ハーヴィーが“体の構造”から“体の機能”を抜き出したからである。 ということを、きの…

ハーヴィーが「医学史上、最初の生理学者」と呼ばれる理由

――17世紀序盤のイギリスで「血液循環」説を唱えたウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)は「医師・生理学者」と呼ばれることが多い。 ということを、10月19日の『道草日記』で述べました。 が―― ハーヴィーは、しばしば、 ――解剖学者 とも呼ばれます。 …

ガレノスとヴェサリウスと――

自然科学という営みは、 ――実験や観察によって仮説の妥当性を見定め、新たな知見を得る。 という点に本質があります。 その際に―― できることなら、観察よりも実験を行いたい――観察では、自然に介入ができないために、得られる知見に限界があるからです。 と…

ガレノスが本当にやりたかったこと

――紀元2世紀ギリシャ・ローマの医師・医学者アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)は、“体の機能”に関心を向けるあまり、思弁的な空想を積み重ねて、それらしく理屈を練り上げようとすることの弊害に、気づいていたかもしれない。 ということを―― おととい…

解剖学者ないし解剖の専門家は、実は――

――解剖学は、生理学の手法としての解剖を、学問として体系づけたものである。 といえる―― ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 これには―― おそらく異論があります。 ――解剖学 は、本来、学問ではなく―― たんに、 ――解剖 と呼ばれるのがよい――…

生理学と解剖学とが混然一体としていた頃

――生理学は体の機能を観る。解剖学は体の形態を観て、体の機能を思う。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 つまり―― どちらも、 ――体の機能 が関心の対象である―― ということです。 その対象を―― 生理学では、直に観ようとし―― 解剖学では、…

生理学と解剖学とは、どう違うのか

アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)のことを、 ――医師・医学者 と呼び―― アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius)のことを、 ――医師・解剖学者 と呼び―― ウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)のことを、 ――医師・生理学者 と呼びました。 …

血液循環と美術画の印刷と

――「血液循環」説の確立 というパラダイム・シフト(paradigm shift)は、 ――美術画の印刷の技術 というブレイクスルー(breakthrough)によってもたらされた―― ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 このように述べると、 ――血液循環と美術画…

“「血液循環」説の確立” をもたらしたブレイクスルー

紀元2世紀ギリシャ・ローマの医師・医学者アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)や、16世紀のブリュッセル生まれの医師・解剖学者アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalisu)の話を―― きのうまでの『道草日記』で、延々と続けてきたのは―― 17世紀序盤…

ヴェサリウスとハーヴィーと

17世紀序盤に活動をしたイギリスの医師・生理学者ウィリアム・ハーヴィー(William Harvey)が「血液循環」説を唱えた際に―― その主な根拠としたのは、次の3つの知見、 1)心臓の内腔の右半分と左半分とを繋ぐ小さな孔は、実は存在をしていない。 2)心臓…

ハーヴィーの「血液循環」説の3つの根拠

――16世紀のブリュッセルに生まれた医師・解剖学者アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius)が、革新的に詳しくて正しくて、しかも圧倒的に美しい人体解剖図版集『ファブリカ(fabrica)』を世に問い、その約 100 年後に、「血液循環」説を唱えたイギ…

革新的に詳しくて正しくて、しかも圧倒的に美しい

――ヨーロッパでは、紀元2世紀ギリシャ・ローマの医師・医学者アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)の残した知見が、その死後 1,400 年もの長きにわたって、延々と追認をされていたのであるが、そうした医学の停滞は、16世紀のブリュッセル生まれの医師・…

真の意味での解剖学の先駆者

――紀元2世紀ギリシャ・ローマの医師・医学者アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)が血液循環の洞察に達しえなかったのは、人の体の解剖を十分に行えなかったからである。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 ヨーロッパで人の体の解剖が十…

ガレノスが血液循環の洞察に達しえなかったわけ

――紀元2世紀ギリシャ・ローマの医師・医学者アエリウス・ガレノス(Aelius Galenus)は、血液の全身の巡りを非常に複雑に考えていた。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 少なくとも、今日の僕らの理解よりは遥かに複雑ですし―― 17世紀序盤…

「血液循環」説が確立をされる前

――“「血液循環」説の確立” はパラダイム・シフト(paradigm shift)とみなしうる。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 どんなパラダイム・シフトも、そうだと思いますが―― 今日の僕らにとって――つまり、パラダイム・シフトが起こった後に生…

“「血液循環」説の確立” はパラダイム・シフトか

血液が全身を巡るという現象――「血液循環」という現象――は、今日、誰もが事実として受け入れているかと思いますが―― この事実が受け入れられ始めたのは―― そんなに遠い昔のことではありません。 ――血液循環 の実態を初めて強力に示したのは―― 17世紀序盤に活…

当該のブレイクスルーの指摘が難しければ「パラダイム・シフト」とみなさない

――パラダイム・シフト(paradigm shift) は、 ――コペルニクス的転回(Copernican Revolution) よりも使いにくい言葉である―― ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 その理由の最たるものは、 ――「パラダイム・シフト」の語義が曖昧模糊として…

「コペルニクス的転回」は使いやすい言葉

――コペルニクス的転回(Copernican Revolution) のことを、連日この『道草日記』で述べていたら―― 先ほど―― 身内の者に、 ――「コペルニクス的転回」というのは、有名な言葉なのか。 と訊かれました。 てっきり―― このサイトを連日みていたゆえの質問かと思…

パラダイム・シフトにコペルニクス的転回は必要でない

――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)は“個人の精神史に起こる革命的な体験”であり、パラダイム・シフト(paradigm shift)の一部に過ぎない。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 このように述べると、 ――パラダイム・シフト には…

個人の精神史に起こる革命的な体験

――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)はパラダイム・シフト(paradigm shift)ではない。 ということを、おとといの『道草日記』で述べました。 ――コペルニクス的転回はパラダイム・シフトの一部にすぎない。 と―― …… …… では、 ――コペルニクス的…

“天動説から地動説への転換”は、パラダイム・シフトとしては、かなり特殊――

――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)は、パラダイム・シフト(paradigm shift)ではなく、パラダイム・シフトのごく一部である。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 なぜ、そういえるのか―― …… …… ――天動説(地球中心説) から、…

コペルニクス的転回はパラダイム・シフトか

――ブレイクスルー(breakthrough)は、パラダイム・シフト(paradigm shift)に比べ、忘れられやすい。 ということを、10月1日以降の『道草日記』で繰り返し述べています。 ――ブレイクスルー を忘れると、 ――パラダイム・シフト を間違って弁えてしまう―― と…

忘れられやすいブレイクスルーその2

――パラダイム・シフト(paradigm shift)に比べると、ブレイクスルー(breakthrough)は忘れられやすい。 ということの例として―― きのうの『道草日記』では、 ――特殊相対性理論 および、 ――光の干渉法 を挙げました。 きょうは、 ――自然発生説の否定 および…

忘れられやすいブレイクスルーその1

――パラダイム・シフト(paradigm shift)に比べると、ブレイクスルー(breakthrough)は忘れられやすい。 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。 具体的に、どのような事例が挙げられるでしょうか。 …… …… すぐに思いつくのは、 ――特殊相対性理…