マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

後鳥羽上皇のこと(17)

『新古今和歌集』は和歌集です。 ――和歌集 とは、和歌を編集したものです。 単に、「歌集」ともいいます。 和歌集の中で―― とくに天皇や上皇の命令で編集されたものを、 ――勅撰和歌集 といいます。 『新古今和歌集』は、後鳥羽上皇の命令によって編集された…

後鳥羽上皇のこと(16)

後鳥羽上皇について―― ここ2週間ほどの『道草日記』で述べたきたことを―― 以下に―― 簡単にまとめます。 …… …… わずか3歳で三種の神器を欠いた不完全な即位をしたことで―― 思春期の頃には漠然とした劣等感を抱いたものの―― 16歳で朝廷の実権を握り―― 以後、…

後鳥羽上皇のこと(15)

承久の乱を起こすと決めたときに―― 後鳥羽上皇は、 ――異常な心理に陥っていたのではないか。 との見方を―― きのう・おとといの『道草日記』で述べました。 …… …… ここで―― 断っておきますと―― ことの真偽は―― もちろん、永遠にわかりません。 その真偽を明ら…

後鳥羽上皇のこと(14)

後鳥羽上皇のことでは―― どうしても無視をするわけにはいかない醜聞があります。 それは―― 承久の乱に敗れた際の、 ――往生際の悪さ あるいは、 ――聞き苦しい言い訳 です。 後鳥羽上皇に味方をして戦いに敗れた武将たちが―― 後鳥羽上皇の御所に逃れ来て、 ――…

後鳥羽上皇のこと(13)

承久の乱を起こした後鳥羽上皇の決断が衝動的であったように思える根拠として―― きのうまでの『道草日記』で―― 以下の3点を挙げました。 1) 後鳥羽上皇側の兵の数が、鎌倉幕府側の兵の数の10分の1ないし100分の1くらいであったらしいこと 2) 後鳥羽上…

後鳥羽上皇のこと(12)

承久の乱を起こした後鳥羽上皇の決断は半ば衝動的であったと考えられる―― ということを―― おとといの『道草日記』で述べました。 さらに―― そのように考えられる根拠として、 ――後鳥羽上皇側の兵の数が、鎌倉幕府側の兵の数の10分の1ないし100分の1くらい…

後鳥羽上皇のこと(11)

後鳥羽上皇は―― 承久の乱を起こす前に、鎌倉幕府を手なずけようとしていた―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 …… …… 後鳥羽上皇による鎌倉幕府への懐柔策で―― 鍵になっていた人物がいます。 鎌倉幕府の三代将軍・源実朝です。 源実朝は――…

後鳥羽上皇のこと(10)

後鳥羽上皇が承久の乱を起こすと決めた時期について―― きのうまでの『道草日記』で―― 両極端の考え方を示しました。 1つは、 ――乱を起こす1~2年前である。 という考え方で―― もう1つは、 ――物心がついたときである。 という考え方です。 …… …… 常識的には…

後鳥羽上皇のこと(9)

後鳥羽上皇が承久の乱を起こすと決めた時期については、 ――乱を起こす1~2年前である。 という考え方と、 ――物心がついたときである。 という考え方との2つがある―― ということを―― きのう『道草日記』で述べました。 その上で―― 「乱を起こす1~2年前であ…

後鳥羽上皇のこと(8)

後鳥羽上皇は―― 農地等の管理者(在地領主)たちと膝詰めで語り合う機会をもちえなかったので―― 後鳥羽上皇が承久の乱を起こすのは必然であった―― というようなことを―― おとといの『道草日記』で述べました。 …… …… では―― 後鳥羽上皇が承久の乱を起こすと…

後鳥羽上皇のこと(7)

後鳥羽上皇は―― 承久の乱が起こるまでの鎌倉幕府が、なぜ東日本の農地等の管理者(在地領主)たちに支持されていたのかを、よく理解できていなかったようである―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 …… …… なぜ東日本の農地等の管理者たち…

後鳥羽上皇のこと(6)

後鳥羽上皇の為人(ひととなり)が論じられる際に―― 昨今―― まず、やり玉に挙げられるのは、 ――通俗的な人物像 です。 曰く、 ――後鳥羽上皇は、一般には、傲慢かつ無謀な人物であり、この国の政権が京の朝廷から鎌倉の幕府へ移りつつあった時代の趨勢を察知…

後鳥羽上皇のこと(5)

後鳥羽上皇に非常に高い権威があったのは―― 後鳥羽上皇が、 ――文武両道 を地で行くような人物であったからである―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 が―― それだけが―― 理由なのではありません。 後鳥羽上皇の権威の高さは―― 後鳥羽上皇…

後鳥羽上皇のこと(4)

承久の乱が起こるまでの後鳥羽上皇には、 ――排除せよ! と、当人がいった途端に―― たとえ、その対象が北条義時のような有力な武家であっても―― 多くの人たちが、何となく、 ――本当に排除しなければいけないんだろうな。 と思ってしまうくらいの権威があった―…

後鳥羽上皇のこと(3)

――承久の乱は、後鳥羽上皇の一人相撲であった。 ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 その「一人相撲」の根拠は―― 後鳥羽上皇が、 ――北条義時、追討―― を決断するに至る過程に求められます。 承久の乱は―― かの有名な関ヶ原の戦いと同様―― こ…

後鳥羽上皇のこと(2)

日本史のファンが、 ――後鳥羽上皇 という固有名詞を耳にして―― 真っ先に思い浮かべるのは、 ――承久の乱 でしょう。 ――新古今和歌集 を真っ先に思い浮かべる人もあるかもしれませんが―― そういう人は、よほど文化史に精通している人か、学校の日本史を頑張っ…

後鳥羽上皇のこと(1)

世の中には―― 稀に、 ――何でもできる人 というのが―― いるのですね。 なぜか―― 自分が、 ――やりたい! と思ったことは何でもできてしまう―― そういう人のことです。 …… …… もちろん―― 人である以上―― 全知全能ではありえませんから、 ――何でもできる という…

現実と同様、虚構も切迫している

現実と虚構との対比について―― 連日―― 『道草日記』で述べてきました。 …… …… 簡単にいってしまうと、 ――虚構 とは、 ――生物種としてのヒトが「世界」という現実に適応するために、人の心の中で起こる応答の全て―― です。 よって―― 現実と虚構と―― より本質…

現実と虚構との区別

現実と虚構と―― その区別は―― 一見、簡単なようで、実際には困難です。 外界の事物を感知し、認知し、認識するくらいまでは―― まあ、何とか「現実」と呼んでよいでしょうが―― その「現実」を解釈し始めてしまえば―― それは―― もはや「虚構」になっているとい…

「虚構」の定義

虚構は―― 一般には、 ――人々を楽しませるためにある。 と考えられています。 物語の虚構――小説や映画、マンガ、TVドラマ、ゲームなどの虚構――を思い浮かべれば―― わかりやすいでしょう。 が―― 実際は違います。 実際は「人々を楽しませるためにある」ではな…

生命や財産は本当に現実か

――国家 とは、 ――国民の生命や財産 という現実を守る上で必要とされる虚構である―― ということを―― ここ数日の『道草日記』で繰り返し述べてきました。 が―― …… …… たしかに―― 国家は、 ――虚構 ですが―― 生命や財産は―― 本当に、 ――現実 でしょうか。 …… …… …

何か虚構の事物を愛するときには

――愛する という心の働きは―― 明確な意志をもって何かに着目をすることです。 その“明確な意志”の中身によっては、 ――真っ直ぐな愛 にもなり、 ――歪んだ愛 にもなりえます。 通常―― 「愛する」という心の働きの中核を占めるのは―― 対象である「何か」を愛で…

“愛世心”で和らぐ懸念

――愛世心 という概念を導入することで―― 例えば、 ――日本人が、スポーツの国際大会などで、日本人選手や日本代表チームの応援に熱狂する様子は、過度な愛国心が醸成されているようで、非常に気になる。 といった懸念を―― 和らげることができます。 おととい…

“愛世心”は愛国心・愛郷心どちらに近いか

――愛国心 ――愛郷心 と並んで、 ――愛世心 という概念が成り立ちうるのではないか―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 「愛世心」というのは―― 僕の造語です。 …… …… さらにいえば―― きのうの『道草日記』では―― 愛国心の対象は、国家ないし…

愛郷心でも愛国心でもない気持ち

――愛国心 とは、 ――「国家」という約束事の集積を愛する心 であるから―― 例えば、 ――「郷土」という自然物の集積を愛する心 とは区別をするのがよい―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 ――郷土は現実であるが、国家は虚構である。 という…

愛郷心と愛国心と

――愛郷心と愛国心とは区別をするのがよい。 という考え方があります。 ――愛郷心 とは、 ――郷土を愛する心 であり、 ――愛国心 とは、 ――国家を愛する心 であり―― 両者は心の在り方としては異質である―― という考え方です。 …… …… つまり、 ――愛郷心と愛国心と…

郷土愛の不思議

――郷土愛 というのは―― よく考えたら不思議です。 ――郷土 とは―― 自分が生まれ育った土地を指します。 ――故郷 といいかえてもよいでしょう。 その“土地”に愛情を感じたり、愛着を抱いたりすることを、 ――郷土愛 といいます。 郷土愛の不思議は―― 愛情や愛着…

「愛国」「憂国」「救国」の現実

――愛国 ――憂国 ――救国 の危うさについて―― きのうの『道草日記』で述べました。 その危うさは、 ――「国」という約束事の虚構性 に起因します。 では―― 「愛国」や「憂国」や「救国」というのは、意味のない概念として切って捨ててよいのか―― といえば―― そう…