マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

老いの始まり

先年、10歳ほど年上の知人と昼食に行ったとき―― 幼稚園児の列に遭遇した。 先生たちに連れられて、一斉に帰宅するところであった。 それをみた知人が、「『今が一番いい時期だぞ』って、いってやりたいな」 と、苦笑まじりにコボしたことを、今も鮮烈に覚え…

小説のことは小説家にしかわからないのか

今日の朝日新聞(宮城版)の文芸欄をみていたら、 ――「小説のことは小説家にしかわからない」というのは誤りだ。 という評論に出くわした。 ある文芸評論家の主張である。 正確には―― そのような主張を掲げた別の文芸評論家の言が引用されていた。 はたして―…

今も耳元に残っている

昨日は訃報が相次いだ。 松岡農相だけでなく―― ロックユニット「ZARD」のボーカル坂井泉水さんも亡くなった。 僕が知ったのは―― 松岡農相より坂井さんの訃報が先である。 思わず、「え?」 と、口走ってしまった。 子宮頸がんで治療中の転落死であったという…

あまりにも象徴的である

安倍内閣の暗さを象徴する事件といってよい。 農林水産大臣の松岡利勝・衆院議員が亡くなった。 各種報道によれば―― 自殺の公算が高いようである。 議員宿舎で首を吊っているのが、わかったらしい。 * 本当に自殺であるならば―― うつ状態が高じての末路では…

不愉快な出来事が思い出されるときには

過去の不愉快な出来事が、自然と思い出されるときには―― どうやって対処すれば、よいだろうか。 思い出されるものは、どうしようもない―― 黙って、やりすごすより、仕方がない―― そう答える人も多かろう。 が―― そういう不愉快な出来事が思い出される間中、…

人ごみに紛れたい

個人が集団に埋没することで得られる安らぎというものがある。 例えば―― 一般に、都会の雑踏は嫌われるけれども―― 実は、巷間いわれているほどに嫌われているものでも、ないようだ。 というのは―― なかには、 ――休日に人ごみの中を歩いているとホッとする。 …

イチロー選手がマウンドに上がった夜/道草随想

『道草随想』をお届けします。 タイトルは、 ――イチロー選手がマウンドに上がった夜 です。 リンク「道草随想のページ」から御覧いただけます。 * 久々にプロ野球ネタです。 そういえば―― 最近、あまりプロ野球ネタを書いていなかったような気がしますね――…

潔く生きたいが

僕は今、33歳なのだが―― ときどき、自分が33歳であることが、わからなくなる。 * 昔―― まだ僕が小学生だった頃―― ――ノストラダムスの大予言 というのがあった。 ――1999年、七の月に、恐怖の大王が降りてくる。 とかいったような内容で―― 人類滅亡を暗示した…

オレ色に染める

若い男の無分別な欲望の一つに、 ――この女をオレ色に染めてやる! というのがある。 演歌などで、しばしば見聞きするフレーズだ。 いうまでもなく―― 実に無分別な欲望である。 そんな暴挙の成功するはずがないことは―― 現実の男女の機微を知った者になら、す…

理想の大学

日々、学生さんたちと接し、彼ら、彼女らの悩みを向き合っていると―― ついつい思わずには、いられない―― 理想の大学とは何か、ということを――である。 僕が考える理想の大学とは―― まず、教員と研究員とが、緩やかに分業されている。 分業は、一般教育課程も…

人間、生命、哀感

文字や絵や映像などに囲まれて暮らしていると―― 自分が何者であるか、ということを―― つい忘れがちとなる。 文字というのは―― 新聞であったり、雑誌であったり、書籍であったり―― 絵というのは―― マンガであったり、絵画であったり―― 映像というのは―― TVで…

哲学問題集

哲学というものは、議論の過程だけに意味があり、議論の終着には、ほとんど意味がない―― と考えている。 こう書くと、世の哲学ファンからは叱られそうだが―― 少なくとも僕個人の正直な見解だから―― 隠しても仕方がないと思っている。 およそ哲学的議論が導き…

常に決まった相手

今日は―― 実に様々な人々と、話をした日であった。 還暦を過ぎた御老人や―― 中学を出たばかりの高校生や―― アメリカ人や―― オーストラリア人や―― 頻繁に議論することが何年も続いているような人々や―― 今日、出会って、初めて口をきいたような人々や―― こう…

どうやら、僕は

どうやら、僕は―― 度しがたいほどのロマン主義者であるらしい。 * 先ほど、風呂に入ってシャワーを浴びていたら―― シャンプーのボトルが空になった。 だいぶ軽くなっていたし―― 買ってから結構な日数が経っているので、(まあ、こんなもんだろう) と思って…

二十歳の頃は

二十歳の頃の僕という男は―― 世の中には、基本的には、二種類のことしかないと考えていた。 ――やりたいこと と、 ――やりたくないこと との二種類である。 だから―― 当時の僕は――「やりたいこと」を、いかに手繰り寄せ――「やりたくないこと」を、いかに放り出…

小説の執筆は

小説のネタが次々と浮かんでくるので―― 困る。 次々と浮かぶのだから―― 次々と書いていけば良さそうなものだが―― それらを、一つひとつ書いていく元気がない。 ただの怠け心だが……。 少し言い訳をすると―― 最近、副業に割かれる時間が増えたので―― よほどの…

少年と母親と

――母親を殺しました。 といって―― 警察に出頭した少年がいたらしい。 今日は、このニュースで朝から持ち切りだ。(そんなことが起こるのか?) と思った。 マンガや小説のネタとしてなら、ともかく―― 実際に、そうした事件が起こるのか―― あるいは、起こしう…

内面世界の隔絶性

自分の内面世界が、他の誰にも覗かれないものだと気づいたときは―― いったい、いつのことだろう? 子供によっては、小学校の低学年くらいまでは―― 例えば、自分が感じたことや考えたことが、自分の母親には筒抜けのような感じが、しているらしい。 僕自身は…

自分の汚さを

歳をとっていくにつれ―― 自分の汚さを、どれくらい素直に受け入れるか―― ということが、大切になってくると考えている。 汚さというのは、簡単にいえば、老いのことである。 誰しも―― 歳をとれば、肌の張りはなくなり、滑らかさは消え失せ、随所にシワが寄り…

男女のことは

たいていの男にとって―― 男女のことは、女が女でなくなってからが勝負だと、思っている。 ――自分の女だ。 と思っていた女性が、ただの人になったときに、男の器量が試される。「男の器量」というよりは、「人としての器量」といったほうがよい。 一方、「女…

人前で話をするのは

人前で話をするのは難しい―― 何を話したら良いのか、いつも難渋をする―― などと書くと―― 素の僕を知っている人は訝(いぶか)るかもしれない。 ――何いってやがる! いつもベラベラ喋ってるじゃねえか! というわけだ。 たしかに、20代の頃は、そうだった。 …

7年目の壁

何事にも7年目の壁がある、というような話を―― ある学者さんの対談記事で知った。 数年前のことだ。 記憶が頼りの言及なので、学者さんの名前は明かさないが―― 僕が尊敬している学者さんの一人である。 5年ではない―― 10年でもない―― やはり、7年なのである…

後藤新平のこと

『日本医事新報』という週刊誌がある。医学・医療の専門誌だ。 大正10年創刊というから、 ――老舗 である。 今月の第1週の号に、養老孟司さんが巻頭言を寄せている。 その末尾のほうで―― まず、 ――私個人は、個人を対象にする医療に、もはやさしたる関心はな…

ほんの少しの親切で

大人は、概して若い人には、親切になれるものだ。 科学者を目指す大学生に―― アスリートを目指す高校生に―― 歌手を目指す中学生に―― 大人は、比較的、容易に親切になれる。 裏を返せば―― 大人は、大人には、なかなか親切になれない、ということだ。 とくに自…

痛ましい話

83歳の奥さんが、86歳の旦那さんを嫌がって―― ある日、突然、別居生活を始めるということが―― あったそうである。 コミュニケーション不全が原因らしい。 旦那さんは耳が遠くなった。 が、補聴器の類いを一切、受け付けない。 耳が遠いので、何をいっている…

誘ってるの?

女の子が寝転ぶと、なぜ、あんなに色っぽくなるのか―― 不思議である。 もっとも―― そう感じているのは、僕だけかもしれないが―― * 中学校3年のとき―― 同級生の女の子が、突然、机の上に仰向けに横たわった。 放課後の―― 教室でのことである。 別に、その女…

こんな体たらくなので

僕は服を買うのが苦手である。 理由はハッキリしていて―― 自分の外見に、そんなに興味が持てないからである。(裸でなければ、まあいいや) といったイイカゲンさが、つきまとうのだ。 これが、もし―― 付き合っている彼女の服なら、正反対である。 彼女の外…

100年では短すぎる

子供の頃―― 世の中には、ごく一部の偉い人たちがいて―― その人たちが世の中を思うように動かしている―― と考えていた。 ――そんな偉い人たちの仲間になりなさい。 と教わり続けて―― 僕は、多感な青春期を過ごした。 今は、そんな風にはみていない。 世の中は…

なんと悲しい

たまっていた古雑誌を整理していたら―― 本田美奈子さんの対談の記事をみかけた。 製薬会社が広告を兼ねて印刷しているパンフレットのようなものである。 本田美奈子さんは、1967年生まれの歌手―― 超売れっ子のタレントというわけではなかったが、歌手として…

口調は大切だ

今日、新幹線の指定席に座っていたら―― 二人の小さな子供を連れたお母さんが乗ってきた。 子供たちを空席に促し、自分は通路に立っている。 怪訝そうな子供たちに、「お席が一つしか取れなかったの」 と、お母さん――「ここ、あいてるよ」 と、子供たち――「そ…