マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

時間稼ぎ戦術はプロフェッショナルか

『花木蘭伝説』の続きを書くつもりでしたが―― 28日深夜のサッカーワールド・カップの試合が非常に興味深かったので―― 急きょ―― そちらを書くことにします。 * 多くの方々がご存じのように―― グループHの最終節で―― 日本代表はポーランド代表と対戦し、0-1 …

『花木蘭伝説』あれこれ(5)

『花木蘭伝説』は―― 物語としての完成度が高くない―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 具体的には―― 花木蘭が無事に郷里へ戻った後の部分に―― 物語を膨らませる余地が十分に残されている―― ということです。 …… …… ここで―― 『花木蘭伝説…

『花木蘭伝説』あれこれ(4)

――花木蘭は美人ではなかった。 ということを―― 3日前の『道草日記』から繰り返し述べています。 美人でなかったからこそ―― かえって魅力的に感じられ、人々の普遍的な共感を呼んだに違いない、と―― …… …… これと良く似た事例を―― 僕らは―― 中世ヨーロッパ史…

『花木蘭伝説』あれこれ(3)

――花木蘭は美人ではなかった。 ということを―― きのうやおとといの『道草日記』で述べました。 誤解のないように述べますと、 美人ではなかった = 魅力的でなかった ではありません。 むしろ―― 美人でなかったからこそ―― その魅力は、いや増した可能性があ…

『花木蘭伝説』あれこれ(2)

『花木蘭伝説』の主人公・花木蘭は、 ――おそらくは美人ではなかった。 ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 物語の設定上、 ――美人ではなかった。 と考えるほうが自然である―― ということです。 この「美人ではなかった」という点が、『花木…

『花木蘭伝説』あれこれ(1)

いわゆる『花木蘭伝説』について―― 僕が気になっていることの一つに、 ――花木蘭は美人であったのか。 があります。 もちろん―― この伝説が演劇や映画やTVドラマの物語になる場合には―― 当然ながら、花木蘭の役は主演女優が演じるわけですから―― 美人に決ま…

『花木蘭伝説』に隠された構造

――“恋の歌”なら、ほぼ間違いなく、“失恋の歌”である。 ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 理由は―― “失恋の歌”であれば、歌の主人公と歌の聴き手との間に一対一構造が作り出されやすいからです。 なぜ―― こんなことを述べたのか―― …… …… 実…

“恋の歌”ならば“失恋の歌”

恋の歌は、 ――恋の成就する歌 と、 ――恋の破綻する歌 との2種類に分けられます。 ここでいう「恋の成就」とは ――自分の恋愛感情が相手に受け入れられること で、「恋の破綻」とは、 ――自分の恋愛感情が相手に拒まれること です。 いわゆる片想いの歌は―― 一…

感情の安全保障(6)

感情の安全保障の基本は―― 例えば、 ――“何となくの恋愛感情”を“真の恋愛感情”と錯覚しないようにすること であると―― きのうの『道草日記』で述べました。 それは―― その通りなのですが―― …… …… 以上の主張は、 ――もし、感情の安全保障に執心しすぎると、味…

感情の安全保障(5)

(感情の安全保障のほうが、感情の災害対策よりも、重要だろうな) と思っています。 なぜか―― …… …… 感情の安全保障で失敗をするほうが、感情の災害対策で失敗をするよりも、ずっと尾を引きやすいからです。 ――恋愛感情 を例にとって―― 少し具体的に考えて…

感情の安全保障(4)

――感情の安全保障 という考え方と紛らわしいものに、 ――感情の災害対策 があります。 「感情の安全保障」が、 ――自分や自分たちの感情が誰かによって不当に操作されないこと であるのに対し―― 「感情の災害対策」は、 ――自分や自分たちの感情が著しく変化し…

感情の安全保障(3)

――国家の安全保障 も―― 結局は、 ――感情の安全保障 である―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 …… …… 「国家の安全保障」といわれると―― 何か外向きの営み――例えば、外国の政府と積極的に交渉を重ねるとか、有為な人材を外国へ積極的に派…

感情の安全保障(2)

――感情の安全保障 とは―― 自分の感情が誰からも操作されないように気を配ることだ、と―― きのうの『道草日記』で述べました。 「感情の安全保障」などという大仰な物言いを考えたのは―― 日頃、 (自分の感情が操作されないように気を配っている人は、世の中…

感情の安全保障(1)

――人の発言や行動を操作するには、その人の感情を操作すればよい。 といわれています。 たしかに―― その通りでして―― もし、ある人の感情を自分に都合よく変化させられたら―― その人は、あとは、その感情に突き動かされることによって、自分に都合よく発言し…

リアリティを欠いた政治評論

――自分は今まで合理的に判断し、行動してきた。これからも合理的に判断し、行動していくつもりだ。 と思っている政治評論家がいたとして―― その評論家が、ある政治家について、 ――あの政治家は今まで合理的に判断し、行動してきているようにみえる。だから、…

「損して得とれ」の真意

――損して得とれ。 という言葉がありますね。 ――たとえ、短期的には損をしても、中・長期的に得をするような方策が望ましい。 という意味です。 この言葉によれば―― 十分に「損をする」とわかった上で損をするのは、そんなに危ういことではない―― ということ…

国際政治で絶対に忘れたくないこと

おとといの米朝首脳会談のような―― 国際政治上、突出した出来事が起こると―― 当然ながら―― 多くの論評がされるわけですが―― そうした論評に触れる際に―― 僕らが、絶対に忘れないほうがよいことは、 ――この地球上は、世界統一政府が存在しない以上、古代・中…

北朝鮮が外交的な勝利?

米朝首脳会談がシンガポールで開かれ―― どうやら一定の合意に達したらしいことについて―― きのうの『道草日記』で触れました。 その後の報道によると、 ――北朝鮮が外交的な勝利を収めた。 とか、 ――アメリカは焦って譲歩をしすぎた。 といった論調が目立って…

まずは敬意を表したい

政治の本質は、 ――利害調整 にあるという考え方があります。 (この考え方で基本的には正しい) と―― 僕自身も思っています。 …… …… が―― この「利害調整」の「利」や「害」に―― とてつもなく大きな振り幅があることを―― 僕らは十分に意識しておくのがよいで…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(8)

――科挙 は―― 昔の中国の高級官吏採用試験です。 隋から清までの歴代皇朝が実施してきました。 盛唐の詩人・孟浩然が―― この試験を受け、及第できずに、宮廷に伺候できなかったことは―― 6月5日の『道草日記』で述べましたね。 この高級官吏採用試験―― 当初…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(7)

盛唐の詩人・孟浩然は―― 時の皇帝・玄宗のことが、どうしても好きになれなかったのではないか―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 …… …… 玄宗は、唐の第9代皇帝で―― 曽祖父は、唐の建国で活躍し、その後は善政を敷いて「中国史上屈指の名…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(6)

盛唐の詩人・孟浩然が―― 代表作である『春暁』で歌っていたことは―― 実は―― 現代日本の対抗文化でおなじみの、 ――萌え ではないか―― という与太話を―― きのうの『道草日記』で述べました。 「与太話」などといいながら―― 自分としては、けっこう本気で、そう…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(5)

――萌え というのは―― いわゆる、 ――草木の萌ゆる の「萌え」ではなくて―― 現代日本の対抗文化(counterculture)の文脈で語られる「萌え」のことです。 この「萌え」とは何かが―― ひと頃―― 対抗文化の文脈で、さかんに議論されました。 僕は、「萌え」を、 ―…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(4)

盛唐の詩人・孟浩然の『春暁』で、 ――花、落つることを知る多少 と歌われる「花」は―― いわゆる『花木蘭伝説』に代表される“戦う女性”を暗示しているのではないか―― ということを―― きのうの『道草日記』で述べました。 もちろん―― 僕は、中国の古典について…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(3)

盛唐の詩人・孟浩然の『春暁』で歌われる、 ――花 は―― 当時の国境付近の戦禍で命を落とした若い将兵たちのことではないか―― という“深読み”を―― きのうの『道草日記』でお示ししました。 これで、しっくりくる方は―― それでよいのですが―― …… …… ――いくら若…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(2)

中国の詩人・孟浩然が生きたのは―― 西暦でいうと―― 689年から740年です。 ときの国号は「唐」で―― 700年代の前半に唐の国権は最盛期を迎えました。 よって―― この時代を、 ――盛唐 と称します。 孟浩然が歴史の表舞台に顔を出すのは―― この盛唐です。 ときの…

「春眠、暁を覚えず」の深読み(1)

――些細な色恋沙汰 と思わせておいて―― 実は、 ――壮大な人生ドラマ を歌っているとわかる―― そんな仕方の詞の引用を―― きのうの『道草日記』で、お勧めしましたが―― こうした「些細な色恋沙汰→壮大な人生ドラマ」の“向き”の転換は―― 何でもない日常の詩を能動…

些細な色恋沙汰→壮大な人生ドラマ

日常の些細な色恋沙汰を歌っているだけなのに―― その歌詞の一部が引用されると―― 何だか壮大な人生ドラマを歌っているかのように感じられることがあります。 ――言葉の不思議 といえば―― それまでですが―― …… …… やはり―― 言葉を文脈から切り離すことの危険性…

電話が鳴ると戸惑う場所

電話を携帯するようになって―― 20年くらいが経ちます。 なので―― どんな場所で電話が鳴っても―― たいていは戸惑わなくなりました。 が―― 今でも戸惑う場所が1つあります。 …… …… トイレです。 …… …… いやあ、困りますね。 …… …… なぜ困るのか―― …… …… 迷う…

“日本刀を振りまわす少女”の成立条件

――虚構と現実との間に何があるのか。 ということを―― 僕は、よく考えるのです。 例えば―― きのうの『道草日記』で述べた、 ――日本刀を振りまわす少女 について―― これが映画やTVの撮影ならば―― その“日本刀を振りまわす少女”は、全体としては、 ――虚構 で…