マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

リアリティを欠いた政治評論

 ――自分は今まで合理的に判断し、行動してきた。これからも合理的に判断し、行動していくつもりだ。

 と思っている政治評論家がいたとして――
 その評論家が、ある政治家について、

 ――あの政治家は今まで合理的に判断し、行動してきているようにみえる。だから、これからも合理的に判断し、行動していくに違いない。

 と予測をするとしたら――

 その予測は――
 一見きわめて妥当です。

 が――

 精神医学ないし心理学的な見地からいえば――
 その予測は、残念ながら、
(かなりウブな予測である)
 といわざるをえません。

 その政治家は――
 今まで、実際には、そんなに合理的に判断できていなかったにもかかわらず、はた目には合理的に判断しているようにみえていただけかもしれません。

 あるいは――
 今までは十分に合理的に行動してきたけれども、これからは合理的に判断しつつも、あえて非合理的に行動しようとするかもしれません。

 ……

 ……

 人には――
 合理的に判断できないときや、合理的に判断しつつも、あえて非合理的に行動しようとするときが、あります。

 いかなる政治家も――
 人である以上は――
 そういうときが必ずあります。

 その可能性をまったく加味しない政治評論は、
(リアリティを欠いている)
 といわざるをえません。

 政治は――
 しょせん人の精神活動や心理変化の複合体に過ぎないことを――

 僕らは――
 決して忘れないのがよいのです。