マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2007-01-01から1年間の記事一覧

思い出せない

人は、一人で生まれて一人で死んでいく。 そのことを忘れるとき―― 人生は味気ないものに感じられる。 ちょっとしたスレ違いを恨めしく思ったりする。 目の前に溢れている幸せに気づけなかったりする。 一人に還るのは簡単だ。 誰しも最初は一人であった。 そ…

医学は退屈たるべし

医学を学び始めて、もうすぐ15年になる。 最初の頃は、不満が怒りに達していた。(どうして医学は、こんなにも退屈な学問なのか) と―― 物理学や数学や文学や哲学や歴史学に比べると―― 医学は、学問としての面白みのなさが、際立っている。 少なくとも、僕に…

救いのない話が

救いのない話が好きである。(いいのかよ、こんなんで……) と思えるくらいに救いのない話が―― 好きである。 救いのない話のほうが、心の内奥では、かえって癒されるような気がするのである。 * 沙村広明さんの『ブラッドハーレーの馬車』(太田出版、2008年…

危機的な状況に追い込まれると

ある種の人間は、危機的な状況に追い込まれると―― 何かアイディアが、わいてくるものらしい。 学生時代、大学の教授が、 ――われわれ学者は、追い込まれると、何か知恵が出てくるものなんだよ。 と笑っていたのを思い出す。 学会の直前になって、講演の内容が…

自殺願望の少女の自殺を

昨日の『道草日記』で、作家の石田衣良さんが挑んだミッションについて触れた。 NHKの番組制作スタッフが用意したミッションである。 ――自殺願望をもつ少女が自殺を思いとどまるような童話を書け。 というものだ。 石田さんの童話は、主人公に自殺願望をもつ…

超一流の業績を残している人は

昨夜は久しぶりに時間があったので、TVをみた。 NHKの『ドキュメント“考える”』という番組である。 作家の石田衣良さんが、48時間以内に解決せねばならぬミッションに挑んだ。 その解決の過程を綿密に取材することによって、石田さんの思考や思索の独創性に…

仏教でいうところの「悟り」とは

仏教でいうところの「悟り」とは―― 結局のところ、 ――自分の今の人生と向き合うことが最大の喜びである。 と痛感することに他ならぬのではないか。 ポイントは、 ――今の人生 にある――「今」であって「将来」ではない。「将来の人生」は、さほど重要ではない…

サンタクロースは太っていてはダメなのか

今夜はクリスマス・イブなので―― 少しは、それらしい話題を―― * アメリカで、太ったサンタクロースに批判の声が上がっているという。 最初は冗談かと思ったが―― どうやら大真面目の議論らしい。 ロイターが配信するネット・ニュースによれば―― アメリカ軍の…

人間の心の闇

僕が曲がりになりにも物書きを続けているのは―― 人間の心の闇に重大な関心があるからだ。 人間の心に闇があることは―― ある程度の人生経験を積んだ者には、自明であろう。 が、そのことを知った後で―― 対応は大きくわかれる。 闇にどっぷりと浸かるか―― 闇を…

光のページェント

仙台・光のページェントの会場となっている定禅寺通りは―― 自宅から歩いて5分ほどのところを通っている。 光のページェントというのは、ケヤキ並木に電飾を施すイベントで―― 仙台市の冬の風物詩として、20年ほど前より売り出されてきた。 若いカップルで賑わ…

情は必要か?

理と対する言葉を探すとしたら―― 情であろう。 ――人は理だけではダメで、情も必要だ。 などといわれる。 * 理と情とについて―― もう、ずいぶん長いこと、考えている。 というのは、(情の必要性が、どうも、よくわからない) と思うからだ。 正確には、(理…

苛立ちの制御

養老孟司さんの仰る「バカの壁」は、決して、 ――バカが築く壁 のことではないと思う。「バカの壁」とは、バカと、そうでない人とを隔てる壁のようなもの――ではない。 バカが無意識に前面に押し出してしまう盾のようなもの――でもない。 現在、僕が理解してい…

偽悪か露悪か

偽悪か露悪か―― それが問題である。 偽悪であれば、実際には自身にはない悪を捻り出していることになる。 例えば、善良な俳優さんがドラマで極悪人を演じるようなことである。 露悪であれば、実際に自身に含まれている悪を曝け出すことになる。 例えば、犯罪…

リンゴの皮をむいていたら

リンゴの皮をむいていたら、人さし指を切ってしまった。 わりとざっくりいったので―― 結構な出血だった。 とりあえず圧迫止血―― が、リンゴの皮をサッサとむきおわりたい。 そのまま圧迫しつづけていたら、いつまでたってもリンゴの皮をむきおわれない。 絆…

人世は不条理だ

夕べのプールサイドに、突然、猟銃を持った男が現れるとは―― ふつう思わない。 もちろん―― その男が猟銃をぶっ放し、その弾に当たって命を落とすとは―― ふつう思わない。 長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件のことである。 先週の金曜日の夜に起こった。 この事…

TPOを弁えぬ言動は見苦しい

TPOを弁(わきま)えぬ言動は見苦しい。 TPOとは、 Time(時) Place(場所) Occasion(場合) の3つである。 例えば、滅多に来日しない超一流のスポーツ選手を相手に、TVカメラの前でインタビューをするときに―― 日本語のダジャレを交えた工夫のないジョー…

女性は恋と愛との区別が苦手?

恋と愛との区別は、女性より男のほうが、つけやすいのかもしれない。 僕自身は、30歳になる頃には、リアルな感覚として、区別がついていた。 同性の友人と話をしていても、 ――だいたい30を境に区別がつくようになった。 と考えているケースが多いようである…

車社会の暗部かも

昼間、自宅の近くで、車道沿いの歩道を歩いていたら―― 突然、バックしてくる車に進路を塞がれた。(なんだ、なんだ――) と思って立ち往生していると―― 車の運転手と目があった。 20代くらいの女性であった。 すぐに目をそらし―― そのまま、歩道の真ん中で突…

男のことも、女のことも

生まれ変わるなら―― 女がいい。 出産や母親業などを経験し、 ――「女である」とは、こういうことか。 と納得をしたい。 もちろん、ものぐさな僕のことであるから、 ――結婚めんどくせ~。 ――出産しんどそ~。 ――母親なんて、やってらんね~。 などと、文句を垂…

「空気をよむ」と、その周辺

――空気をよむ。 という表現が好きではない。 例えば、誰かが、大勢の人々の前で、何か場違いな発言をしてしまったときに―― それを半ば冗談っぽく咎め立てるようにして、 ――空気よめよ~! と畳み掛けるような言い方が、好きではない。 念のために言い添える…

急にクロワッサンを食べたくなったので

午後、仙台の街を歩いていたら―― 急にクロワッサンを食べたくなったので―― クロワッサンが食べられそうな専門の喫茶店に行って―― カフェラテと一緒にクロワッサンを注文した。 最近、脂っこい物が美味(おい)しく感じられる。 僕は、元々、油っこい物が大好…

イヤなことはイヤなことで

イヤなことから、何か元気の源のようなものを取り出せれば―― 人生、こんなに楽なことはない。 イヤなことに遭って、イヤな思いをし、元気をなくしてしまうのが人間だから―― 人生というものは、長く、ツラく、苦しいのだ。 イヤなことから、何か元気の源のよ…

夫婦は似てくるという

夫婦は似てくるという。 たぶん、いつも互いをみているうちに、何となく相手の真似をしたくなるからだ。 何となく真似をしたくなるのは、相手に好意を抱いているからで―― この好意がなくなると、相手の真似をしたくはなくなるから―― 互いに、どんどんと違っ…

檻に入れられた珍獣の気分

12月6日の『道草日記』で、 ――化粧品の広告に登場する女性に恋をすることはない。 と述べたが―― 化粧品の広告に登場する女性が毛嫌いしているわけではない。 その中には、昔から興味があった女優さんもいれば―― 最近、気になっている女優さんもいる。 ――好み…

薄着を好む人は

今日は少し暖かくなるときいたので―― いつもより薄手のカーデガンのようなものを羽織って―― その上から、いつもと同じコートを羽織ったのだが―― 寒いこと、寒いこと―― コートの下が少し違うだけで、こんなにも体感気温が違ってくるのか、と―― かなり、驚いて…

化粧品の広告をみていたら

化粧品の広告をみていたら―― なんだか、わけがわからなくなった。 困惑したのである。 広告に登場している女性たちの容姿や姿体に、ある種の色気のようなものを感じたのだが―― それは、あくまでも「色気のようなもの」であって、「色気」ではなかった。 少な…

スポーツは戦争ではない

先頃、北京オリンピックの野球アジア最終予選が、台湾の台中で行われ―― 接戦の末、日本代表チームが予選突破を決めた。 日本、韓国、台湾、フィリピンの4チームが1試合総当たりで対戦し―― 首位チームのみが本大会に出場できるという過酷な超短期決戦であった…

靴下にデカデカと穴があく

夕方、(どうも足が冷たいな――靴下を履いてるのにな) と思ったら―― 靴下の踵(かかと)や足裏に、デカデカと穴があいていた。 左右両方の靴下に、である。 朝、靴下を手にとったときには、穴などはあいていなかったから―― それ以降、どこかでデカデカと穴を…

趣味もまた善し

趣味は片手間にやるからこそ、面白い。 本腰を入れたら―― それは趣味ではなくなる――生業である。 生業というのは、 ――生きていくために、どうしても、やり続けなければならぬこと。 である。 生業は収入とは必ずしも関連しない。 例えば―― 収入を確保するた…

現実の不条理、虚構の論理

スポーツのゲームは、ディレクターのいないTVドラマみたいなものだ。 どのような筋書きになるかは、観客はもちろん、俳優たちにも、わからない。 つまり、スポーツのゲームがもつ迫力とは、現実の不条理に根差しているといってよい。 これに対し、本物のTVド…