TPOを弁(わきま)えぬ言動は見苦しい。
TPOとは、
Time(時)
Place(場所)
Occasion(場合)
の3つである。
例えば、滅多に来日しない超一流のスポーツ選手を相手に、TVカメラの前でインタビューをするときに――
日本語のダジャレを交えた工夫のないジョークは、聞き苦しいこと限りない。
この場合のTPOは、
Time:滅多に来日しない人物が、今、日本にいる
Place:TVカメラの前である
Occasion:超一流のスポーツ選手にインタビューをする
となる。
TPOに注意を払わねばならぬときというのは――
その希少性が際立っているときだ。
例えば、
Time:日本に住んでいる人物が、今、日本にいる
Place:TV番組の収録の待ち時間である
Occasion:無名の素人スポーツ選手に話しかける
であれば、とくにTPOに注意を払う必要はない。
本来――
TPOへの注意というものは、とくに意識せずとも払い損ねるものではない。
通常、人は、TPOの希少性が高まるときには、緊張をする。
緊張を自覚し、それに打ち克つ意志さえあれば、見苦しい言動を晒すことはない。
見苦しい言動を晒してしまうのは――
TPOの希少性に、すっかり慣れてしまい、緊張を自覚できなくなったときである。
しばしば、日本の大物タレントが、海外の著名人を相手に醜態を演じるのは、そのためであろう。
おそらく、日々、TPOの希少性の高まる状況に放り込まれているので、緊張を自覚することができぬのだ。
気の毒とは思うが――
ノブレス・オブリージュ(高貴の義務)の観点からみれば――
同情の余地はない。