――源頼朝(みなもとのよりとも)
を、
――魅力的な悪役
に仕立て上げるには――
いわゆる、
――源平(げんぺい)の争乱
を――
――源頼朝
と戦った、
――平清盛(たいらのきよもり)
や――
その子や孫らのうちの誰かを、
――主役
に仕立て上げればよい。
が――
誰を、
――主役
に仕立て上げればよいのか。
……
……
適者は、なかなか見当たらない。
例えば――
――平清盛
は――
――源頼朝
より 30 歳ほど年上であり――
――源頼朝
が兵を挙げてから、1 年ほどで病没をしている。
その子や孫らには――
これといった英傑を見出せない。
――平清盛
の嫡男、
――平重盛(たいらのしげもり)
は――
有能な人格者ではあったようだが――
少しばかり線が細く――
頑健とはいえない体であり――
父、
――平清盛
よりも先に病没をした。
代わって後継者になった、
――平宗盛
は――
父や兄に似ず、凡庸であった。
これら 3 人の中で――
あえて、
――源頼朝
を、
――魅力的な悪役
に仕立て上げるに足る、
――主役
を見出すとしたら――
やはり――
――平清盛
の他にはない。
……
……
ほんの 40 ~ 50 年前までは――
――平清盛
の築き上げた政権は――
――武家政権
というよりは――
――公家政権
である――
と認識をされていた――
既存の、
――公家政権
を――
武士の出自であった、
――平清盛
が乗っ取った――
という認識である。
が――
そうした認識は――
数多くの史料が読み解かれていった結果――
この 10 ~ 30 年で大きく変わってきたという。
例えば――
歴史の教科書には――
いわゆる、
――守護・地頭
は、
――鎌倉幕府
によって初めて設置をされた――
と読めるように書かれているが――
実際には――
その原形ともいえる役職が――
――平清盛
の政権によって――
少なくとも部分的には――
設置をされていた――
つまり――
――鎌倉幕府
は――
――平清盛
の政権が推し進めたことをさらに徹底的に推し進めようとしたに過ぎない――
ということである。
こうした解釈を踏まえれば――
――源頼朝
は、
――平清盛
の真似をしただけ――
ということになる。
――画期的な政策を横取りしただけ――
ともいえる。
……
……
このようにして――
――源頼朝
を、
――悪役
に仕立て上げていく素地が――
調えられていく。
『物語』