生まれ変わるなら――
女がいい。
出産や母親業などを経験し、
――「女である」とは、こういうことか。
と納得をしたい。
もちろん、ものぐさな僕のことであるから、
――結婚めんどくせ~。
――出産しんどそ~。
――母親なんて、やってらんね~。
などと、文句を垂れまくるのであろうが――
それでも――
ひと度、女に生まれついたからには、どれも一通りは体験したがると思う。
そうやって体験を重ねていくうちに――
たぶん、
――今度、生まれ変わるなら、男がいい。
などと思っている――
そうに違いない。
そう――
僕は、男のことだけしかわからない、というのがイヤなのだ――
あるいは、女のことだけしかわからない、というのが――
男のことも、女のことも、どちらも、わかっておきたい。
現実の僕は男であるから――
男であることがどういうことなのか、かなり生々しく、わかっているつもりであるけれども――
それだけで満足はできない。
同じくらい生々しいレベルで、女であるということを、わかりたい。
(だから、僕は小説を書いているのだろうな)
と、思う。
男でありながら、女であることがどういうことかを、真剣に考えるチャンスなどは――
そんなにあるわけではない。
歌舞伎の女形でも、やればいいのかもしれないが――
僕の関心は、人間の内面に向かう。
そういう意味では、やはり小説がよい。