趣味は片手間にやるからこそ、面白い。
本腰を入れたら――
それは趣味ではなくなる――生業である。
生業というのは、
――生きていくために、どうしても、やり続けなければならぬこと。
である。
生業は収入とは必ずしも関連しない。
例えば――
収入を確保するために、週5日、朝から晩まで営業職をこなし――
生きる喜びを味わうために、週末に草野球のゲームやトレーニングに邁進する人は――
野球を生業にしているといったほうがよい。
ここで注意すべきは――
その人にとっての野球は、たぶん趣味ではない、ということである。
それをやめると生きる喜びが感じられなくなるようなものは――
趣味ではない。
生業である。
プロ野球選手ではなくても――
野球を生業にしている人は、いくらでもいる。
野球をするために生きている――
週末に野球をするために、平日に働いている――
そういう人たちである。
趣味の良い点は――
いつでもやめられる気楽さだ。
気軽に始めて、何となく終わりにしても後腐れがない――
そういう趣味もまた、人生の在り方を豊かにしてくれる。
そう――
僕は趣味を貶めるつもりはない。
いい加減にダラダラとやるからこその趣味である。
趣味と生業とを分けるなら――
趣味もまた善しなのだ。
以上のことからもわかるように――
あることを趣味にする人と生業にする人との共同歩調は、原理的に難しい。
例えば、草野球を趣味にする人と生業にする人とでは――
中学校の野球部の顧問とプロ野球チームの監督との違いくらいの開きがある。