リンゴの皮をむいていたら、人さし指を切ってしまった。
わりとざっくりいったので――
結構な出血だった。
とりあえず圧迫止血――
が、リンゴの皮をサッサとむきおわりたい。
そのまま圧迫しつづけていたら、いつまでたってもリンゴの皮をむきおわれない。
絆創膏を探すが見当たらず――
そうこうするうちに、むきかけのリンゴが、どんどん変色する(ような気がした)
よって、セロハンテープを傷口に巻く。
透明なだけにグロテスク――
どんどん出血で滲んでくる。
鮮紅色のセロハンテープ――
そのまま――
リンゴの皮をむきつづけ、結局、最後までむきおわる――
鮮紅色の人さし指で――
リンゴを食べおわる頃に――
ようやく絆創膏を発見――
人さし指に巻く。
鮮紅色のセロハンテープはゴミ箱へ――
以上――
一人暮らしだから、できること――
もし家人がいれば、大騒ぎされていたかもしれない。
僕は病院で働いているので――
多少の出血は気にならない。
(いいじゃん、血が少しくらい出てたって――創傷治癒に必要だから出てんだよ)
みたいに思っている。
まともな感覚がなくなってきた。
べつに外科や手術場や救急センターで働いているわけではないのだが――
どこの診療科であっても、血をみることは、さほど珍しくはないものだ。