日本人が遊牧民族に好感情を抱くのは――
日本人の身に、
――遊牧民族の全遺伝情報(genome)の一部
が流れているからである――
と考えてみる。
……
……
では――
その“遊牧民族の全遺伝情報の一部”が流れていると――
なぜ遊牧民族に好感情を抱くのか。
……
……
次のように考えられる。
もし、
――遊牧民族の全遺伝情報の一部
が日本人の身に流れているとしたら――
今日の、
――日本人の全遺伝情報の一部
には――
例えば、
――馬に乗って草原を駆け抜けるのに有効な固有の生体分子
を導き出す遺伝情報も含まれていることになる――
その遺伝情報は――
例えば、草原の景色を直に目にするだけではなく、映像や写真で目にするだけでも――
例えば、その“馬に乗って草原を駆け抜けるのに有効な固有の生体分子”の合成の準備を自律的に始めたりする――
その際――
日本人は、自身の内部の、その僅かな変化を察して、
――ああ、自分も馬に乗って草原を駆け抜けてみたい。
と何となく直感をする――
その直感が、憧憬や郷愁の情として、日本人の心の奥底で仄かに意識をされる――
よって――
日本人の身に、“遊牧民族の全遺伝情報の一部”が流れていたら――
日本人は遊牧民族に好感情を抱き易くなる――
そういうことではなかったか。
……
……
以上は空想である。
現代生命科学のいかなる知見にも、きちんとは根差していない。
『随に――』