マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

遊牧の起源(1)

 日本人の身に、

 ――遊牧民族の全遺伝情報(genome)の一部

 が流れている――

 ということを考える時に――

 一つ注意をしておきたいことがある。

 

 ――遊牧の起源

 についてである。

 

 ……

 

 ……

 

 人類は、おそらくは今から 1 万~ 3 万年前に、

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――農耕・牧畜

 の生活へと移行を遂げた――

 その後、おそらくは今から 3,000 年くらい前に、その「農耕・牧畜」のうちの「牧畜」が、新奇の様態へ変わることで――つまり、一ヵ所に定住をせず、動物の群れと移動を共にしながら暮らしていく様態へ変わることで――

 ――遊牧

 は発明をされた――

 そのように考えがちだ。

 

 が――

 実際は、どうか。

 

 そもそも、

 ――牧畜

 が先で、

 ――遊牧

 が後といえるのか。

 

 ――遊牧の起源

 は、人類が野生の動物の群れに付いていったことにあるという。

 

 であるならば――

 

 ――牧畜

 が後で、

 ――遊牧

 が先ではないか――

 

 つまり――

 

 人類は、今から 1 万~ 3 万年前に、

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――農耕・牧畜

 の生活へと移行を遂げたのではなくて――

 

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――遊牧

 の生活へと移行を遂げ――

 野生の動物の群れを飼いならすことによって、次第に自然の管理の方法を体で学んでいった――

 

 やがて――

 そうした自然の管理を合理的かつ徹底的に推し進めていった者たちによって、

 ――牧畜

 や、

 ――農耕

 が発明をされていった――

 

 そういうことではなかったか。

 

 つまり――

 人類は、

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――農耕・牧畜

 の生活へと移行を遂げたのではなく――

 

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――遊牧

 の生活へと移行を遂げ――

 その後、

 ――遊牧

 を続けた者たちと、

 ――農耕・牧畜

 を始めた者たちとに分かれていった――

 

 ……

 

 ……

 

 『随に――』