マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

『花木蘭伝説』あれこれ(5)

 『花木蘭伝説』は――
 物語としての完成度が高くない――
 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 具体的には――
 花木蘭が無事に郷里へ戻った後の部分に――
 物語を膨らませる余地が十分に残されている――
 ということです。

 ……

 ……

 ここで――
 『花木蘭伝説』のあらすじを――
 おさらいしましょう。

 『花木蘭伝説』とは――
 古代ないし中世の中国で――
 うら若き娘・花木蘭が、年老いた父親に代わって徴兵の命を受け――
 従軍を決意し――
 男装の上で郷里を出て、国境へ赴き、対外戦争に参加――
 男顔負けの活躍で、味方を勝利へと導き――
 無事に郷里へ戻って、いつまでも親孝行を尽くした――
 という伝説です。

 ……

 ……

 この物語を膨らませるやり方は色々あると思いますが――

 大きく分けると、

 ――ハッピーエンドに膨らませる。

 と、

 ――バッド・エンドに膨らませる。

 との2種類です。

 ハッピーエンドに膨らませていくのは――
 基本的には、サクセス・ストーリーの繰り返しです。

 もちろん――
 同じようなサクセス・ストーリーを繰り返すのはナンセンスですから――
 さまざまに変化をつけていきます。

 その過程で――
 花木蘭は年齢を重ね――
 結婚をし、子を成し、母となり、祖母となり――
 それぞれのライフ・ステージに固有の“サクセス”を経験していきます。

 決して美人ではない花木蘭の物語ですから――
 結婚を巡るストーリーなどは、コミカルにも仕立てられるでしょう。

 母となり、祖母となる花木蘭にも――
 明るく、人情味のある話題を重ねていくことができると思います。

 おそらく、健全な家族の物語になるでしょうね。

 が――
 こうした物語の膨らませ方では――
 例えば、ジャンヌ・ダルクの物語のような鮮烈性や衝撃性は望めません。

 もし、そうしたものを望むのなら――
 強烈なバッド・エンドにするしかないでしょう。

 ただし――
 『花木蘭伝説』では、

 ――いつまでも親孝行を尽くした。

 という形で物語を終わらせなければなりませんから――

 単純な発想のバッド・エンドではいけません。

 例えば――
 ジャンヌ・ダルクの物語に着想を得て――

 国防のため、再び国境へ向かうように命じられた花木蘭が――
 外敵との戦いに今度は敗れて捕縛され――
 厳しい尋問を受けた上で――
 公開処刑される――

 といった終わらせ方は――
 とれないのです。

 では――
 どうするか――

 相応の工夫が必要です。

 ……

 ……

 続きは――

 あすの『道草日記』で――