『花木蘭伝説』は――
物語としての完成度が高くない――
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
具体的には――
花木蘭が無事に郷里へ戻った後の部分に――
物語を膨らませる余地が十分に残されている――
ということです。
……
……
ここで――
『花木蘭伝説』のあらすじを――
おさらいしましょう。
『花木蘭伝説』とは――
古代ないし中世の中国で――
うら若き娘・花木蘭が、年老いた父親に代わって徴兵の命を受け――
従軍を決意し――
男装の上で郷里を出て、国境へ赴き、対外戦争に参加――
男顔負けの活躍で、味方を勝利へと導き――
無事に郷里へ戻って、いつまでも親孝行を尽くした――
という伝説です。
……
……
この物語を膨らませるやり方は色々あると思いますが――
大きく分けると、
――ハッピーエンドに膨らませる。
と、
――バッド・エンドに膨らませる。
との2種類です。
ハッピーエンドに膨らませていくのは――
基本的には、サクセス・ストーリーの繰り返しです。
もちろん――
同じようなサクセス・ストーリーを繰り返すのはナンセンスですから――
さまざまに変化をつけていきます。
その過程で――
花木蘭は年齢を重ね――
結婚をし、子を成し、母となり、祖母となり――
それぞれのライフ・ステージに固有の“サクセス”を経験していきます。
決して美人ではない花木蘭の物語ですから――
結婚を巡るストーリーなどは、コミカルにも仕立てられるでしょう。
母となり、祖母となる花木蘭にも――
明るく、人情味のある話題を重ねていくことができると思います。
おそらく、健全な家族の物語になるでしょうね。
が――
こうした物語の膨らませ方では――
例えば、ジャンヌ・ダルクの物語のような鮮烈性や衝撃性は望めません。
もし、そうしたものを望むのなら――
強烈なバッド・エンドにするしかないでしょう。
ただし――
『花木蘭伝説』では、
――いつまでも親孝行を尽くした。
という形で物語を終わらせなければなりませんから――
単純な発想のバッド・エンドではいけません。
例えば――
ジャンヌ・ダルクの物語に着想を得て――
国防のため、再び国境へ向かうように命じられた花木蘭が――
外敵との戦いに今度は敗れて捕縛され――
厳しい尋問を受けた上で――
公開処刑される――
といった終わらせ方は――
とれないのです。
では――
どうするか――
相応の工夫が必要です。
……
……
続きは――
あすの『道草日記』で――