という考え方があります。
――愛郷心
とは、
――郷土を愛する心
であり、
――愛国心
とは、
――国家を愛する心
であり――
両者は心の在り方としては異質である――
という考え方です。
……
……
つまり、
とは、
――郷土と国家とは別である。
に、ほぼ等しい――
ということです。
……
……
では――
郷土と国家との違いは何か――
……
……
よくある誤解は――
以下の通りです。
――「郷土」とは故郷の土地のことであり、日本でいえば、市町村とか都道府県とかを意味するから、「郷土」が「国家」と異なるのは当たり前だ。
たしかに、
――故郷
といわれれば――
出身地の市町村や都道府県を思い浮かべることが多いかとは思います。
が――
その出身地が、日本国の領土――すなわち、国土――に含まれることは明白です。
よって――
ここでいう「郷土」は、
――国土
といいかえても、よいのですね。
つまり、
――郷土と国家との違いは何か。
という問いは、
――国土と国家との違いは何か。
という問いに等しいといえます。
では――
国土と国家との違いは何か――
……
……
――国土は現実であり、国家は虚構である。
というのが――
現時点での僕の答えです。
国土は、広大な自然物の集積であり――
国家は、人々の約束事の集積です。
つまり――
冒頭の言葉、
というのは――
たんに、
――現実と虚構とは区別をするのがよい。
といっているにすぎません。
……
……
もちろん、
――愛国心は虚構が対象であるから、大して意味のない精神である。
などというつもりはありません。
ここ数日の『道草日記』で繰り返し述べているように、
――国
という虚構が、なぜ必要とされているのかを真剣に考えれば――
それは――
決して“大して意味のない精神”ではありえません。