――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)はパラダイム・シフト(paradigm shift)ではない。
ということを、おとといの『道草日記』で述べました。
――コペルニクス的転回はパラダイム・シフトの一部にすぎない。
と――
……
……
では、
――コペルニクス的転回
とは――
つまりは、何なのか――
……
……
それは、
――個人の精神史に起こる革命的な体験
であろう、と――
僕は考えています。
――これまでは、天動説(地球中心説)のほうが正しいと何となく思っていた。が、よく考えてみたら、実は地動説(太陽中心説)のほうが正しいと気づいた。
という体験です。
これは――
きわめて私秘的な体験です。
例えば、
――これまでは、自分は異性愛のほうに興味をもっていると何となく思っていた。が、自分の性的嗜好を冷静に振り返ったら、実は同性愛のほうに興味をもっていると気づいた。
という体験が、きわめて私秘的であるのと同様に――
コペルニクス的転回というのは、きわめて私秘的なのですね。
こうした体験が、学界や社会の構成員の多数派によって共有をされるようになれば、パラダイム・シフトとみなしえます。
――天動説から地動説への転換
は、天文学の共同体における多数派によって共有をされたので、最終的には、
――パラダイム・シフト
とみなされるようになりました。
が――
その“シフト”に 2,000 年くらいかかっていることを考えると、
(ちょっとパラダイム・シフトっぽくないのでは?)
と、僕は感じます。
――天動説から地動説への転換
は、
――パラダイム・シフト
とはみなさなほうがよい、と――
僕は考えています。
そうではなくて――
――「コペルニクス的転回」という名の私秘的な体験――“個人の精神史に起こる革命的な体験”――の集積
と考えたいのです。