――パラダイム・シフト(paradigm shift)
は、
――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)
よりも使いにくい言葉である――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
その理由の最たるものは、
――「パラダイム・シフト」の語義が曖昧模糊としているから――
というものです。
やはり、かなりフワっとした概念だと思うのです――「パラダイム・シフト」という概念は――
とはいえ――
その“曖昧模糊”のゆえに――
この概念は、科学哲学や科学史の領域を超えて人々に広く受け入れられた、ともいえそうですから――
――パラダイム・シフト
の概念を、わざわざ――
例えば、
――専門母型(disciplinary matrix)の転換
と呼び変えることが得策であるとは――
ちょっと僕には思えません。
その代わりに――
僕が提案をしたいのは、
――パラダイム・シフトはブレイクスルー(breakthrough)から派生をしていて、当該のブレイクスルーの指摘が難しい場合には、あえて「パラダイム・シフト」とはみなさない。
という発想です。
例えば、
――特殊相対性理論
のパラダイム・シフトは、
――光の干渉法
のブレイクスルーから派生をしていると、みなし、
――自然発生説の否定
や、
――細菌感染症の発見
のパラダイム・シフトは、
――微生物の培養法
のブレイクスルーから派生をしている、とみなす――
が――
当該のブレイクスルーの指摘が難しい場合には、あえて、
――パラダイム・シフト
とはみなさない――
例えば、
――天動説から地動説への転換
は、当該のブレイクスルーの指摘が難しいので、あえて、
――パラダイム・シフト
とはみなさない――
そういう発想です。