マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

コペルニクス的転回はパラダイム・シフトか

  ――ブレイクスルー(breakthrough)は、パラダイム・シフト(paradigm shift)に比べ、忘れられやすい。

 ということを、10月1日以降の『道草日記』で繰り返し述べています。

 

 ――ブレイクスルー

 を忘れると、

 ――パラダイム・シフト

 を間違って弁えてしまう――

 ということがあります。

 

 典型例は、

 ――コペルニクス的転回(Copernican Revolution)

 でしょう。

 

 ――コペルニクス的転回

 とは――

 15世紀のポーランドに生まれた天文学者ニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus)が、当時の西欧で支配的であった、

 ――天動説(地球中心説

 を捨て、

 ――地動説(太陽中心説

 を取り入れたことに由来をします。

 

 その史実から転じて――

 物事の考え方が正反対に変わってしまうことを、

 ――コペルニクス的転回

 と呼ぶようになりました。

 

 この言葉を知ると、

 ――コペルニクス的転回はパラダイム・シフトの好例だ。

 と、うっかり誤解をしやすくなります。

 

 僕も、しばらくは誤解をしていました。

 

 実際には、

 ――コペルニクス的転回

 は、

 ――パラダイム・シフト

 とはみなせません。

 

 ――地動説

 は、コペルニクス以前にも――驚くべきことに、コペルニクスよりも 2000 年近く前の時代にも――唱えられていて――

 かつ、

 ――天動説

 は、コペルニクスの死後、少なくとも 100 年くらいは、

 ――地動説

 と同じくらいの確かさで、何となく人々に受け入れられていたのです。

 

 つまり、

 ――天動説と地動説と、どちらが正しいのか、そう簡単には決着はつかない。

 との見解が主流であったのです。

 

 よって、

 ――コペルニクス的転回

 は、

 ――パラダイム・シフト

 とはみなせません。

 

 強いていえば、

 ――パラダイム・シフト

 の一部――ごく僅かな一部分――です。