アフリカ大陸を巣立った人類は――
西アジアの東部で、しばらく滞留をした後――
そこを起点に――
一部は、南アジアから東南アジア、オセアニアへ――
一部は、東ヨーロッパから北ヨーロッパ、西ヨーロッパへ――
それぞれ分散をしていったと考えられている。
……
……
あえて繰り返し述べると――
起点は、
――西アジアの東部
であった。
今でいうイラン高原の辺りだ。
この高原で――
人類は、
――遊牧
という生活を見出したのではなかったか。
……
……
世界最古の遊牧民族は――
紀元前9世紀のロシア平原に現れた、
――キンメリア人
といわれる。
が――
ここでいう「世界最古」とは、
――農耕民族が編んだ人類史に最初に登場をした遊牧民族
という意味である。
実際には――
農耕民族が記録に留める遥か昔から――
例えば、今から 1 万~ 3 万年前から――
遊牧民族が、イラン高原の辺りを拠点に栄えていたのではないか。
そして――
紀元前9世紀頃――つまり、今から 3,000 年くらい前に――
イラン高原の辺りからロシア平原の方へ出向いていったのが、キンメリア人であった――
要するに――
遊牧の起源は、イラン高原の辺りに求めるのがよく――
ロシア平原に求めるべきではない――
ということである。
少なくとも、アフリカを巣立った人類の足跡を辿る限り――
遊牧の起源は、イラン高原の辺りに求めるのが最も自然である。
むろん――
東アジアや北アジアに求めてもよい。
東アジアであれば、今でいうモンゴル高原か。
北アジアであれば、かつて温暖であったシベリアか。
もし、そうなら――
モンゴル高原やシベリアは、当時、イラン高原より遥かに遊牧に適していたことになる。
もっとも――
そこまで考えを進めると、空想の域になる。
『随に――』