現生の人類が、生命の進化の過程で出現をしたのは――
今から 10 万~ 30 万年前のアフリカ大陸である――
と考えられている。
その後、
――人に固有の社会性の獲得
という進化の事象を経て――
今から 3 万~ 10 万年前に――
人類の一部がアフリカ大陸を巣立った。
アフリカ大陸を巣立った人類は――
西アジアへ出て、その東部で、しばらく滞留をした後――
そこを起点に――
一部は、南アジアから東南アジア、オセアニアへ――
一部は、東ヨーロッパから北ヨーロッパ、西ヨーロッパへ――
それぞれ分散をしていったと考えられている。
そして――
世界の各地に散らばった人類は――
持ち前の、
――社会性
を活かし――
今から 1 万~ 3 万年前に、
――狩猟・採集
の生活から、
――農耕・牧畜
の生活へと、根源的な転換を果たした。
農耕民たちの登場である。
その際、
――農耕・牧畜
を嫌って、
――遊牧
の生活へと転換を果たした者たちも、少なからず、あったに違いない。
遊牧民たちである。
おそらく――
遊牧民たちの歴史の始まりは、農耕民たちと同じくらいに、古い。
遊牧民たちもまた、
――社会性
を活かし――
新たな生活へと転換を果たした。
が――
遊牧民たちは、記憶に頼って、記録を残さなかった。
つまり――
歴史を編まなかった。
ゆえに――
いったんは人類史から押し出される。
その後――
農耕民たちによって、
――異形の民
と描写をされるに至り――
再び人類史に舞い戻る。
これら“押し出され”や“舞い戻り”は――
あくまでも、農耕民たちの視点による。
人類史は、農耕民たちの主観で色濃く彩られている。
『随に――』