マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

遊牧の起源(3)

 現生の人類が、生命の進化の過程で出現をしたのは――

 今から 10 万~ 30 万年前のアフリカ大陸である――

 と考えられている。

 

 その後、

 ――人に固有の社会性の獲得

 という進化の事象を経て――

 今から 3 万~ 10 万年前に――

 人類の一部がアフリカ大陸を巣立った。

 

 アフリカ大陸を巣立った人類は――

 西アジアへ出て、その東部で、しばらく滞留をした後――

 

 そこを起点に――

 一部は、南アジアから東南アジア、オセアニアへ――

 一部は、中央アジアから東アジア、北アジアへ――

 一部は、東ヨーロッパから北ヨーロッパ、西ヨーロッパへ――

 それぞれ分散をしていったと考えられている。

 

 そして――

 世界の各地に散らばった人類は――

 持ち前の、

 ――社会性

 を活かし――

 今から 1 万~ 3 万年前に、

 ――狩猟・採集

 の生活から、

 ――農耕・牧畜

 の生活へと、根源的な転換を果たした。

 

 農耕民たちの登場である。

 

 その際、

 ――農耕・牧畜

 を嫌って、

 ――遊牧

 の生活へと転換を果たした者たちも、少なからず、あったに違いない。

 

 遊牧民たちである。

 

 おそらく――

 遊牧民たちの歴史の始まりは、農耕民たちと同じくらいに、古い。

 

 遊牧民たちもまた、

 ――社会性

 を活かし――

 新たな生活へと転換を果たした。

 

 が――

 遊牧民たちは、記憶に頼って、記録を残さなかった。

 

 つまり――

 歴史を編まなかった。

 

 ゆえに――

 いったんは人類史から押し出される。

 

 その後――

 農耕民たちによって、

 ――異形の民

 と描写をされるに至り――

 再び人類史に舞い戻る。

 

 これら“押し出され”や“舞い戻り”は――

 あくまでも、農耕民たちの視点による。

 

 人類史は、農耕民たちの主観で色濃く彩られている。

 

 『随に――』