マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

経験の陳述を求められたら

 経験の陳述を求められているのに、経験の勧奨で応えると、

 ――なんだぁ?

 と思われます。

 ――いやいや、私がききたいのは、そういうことじゃなくて……。

 と――

 ……

 ……

 例えば、

 ――○○って、どんな感じですか。

 と訊かれて、

 ――実際に○○すれば、わかりますよ。

 と答えてしまうと――
 相手を心の底から落胆させてしまいます。

 もう少し具体的にいえば――

 ……

 ……

「結婚って、どんな感じですか」

「実際に結婚すれば、わかりますよ」

(ガッカリ)

 ……

 ……

 あるいは――

 ……

 ……

「子どもを授かるって、どんな感じですか」

「実際に子どもを授かれば、わかりますよ」

(ガッカリ)

 ……

 ……

 というように――

 ……

 ……

 そういうことなら、

 ――答えられない。

 とか、

 ――答えたくない。

 と応じるほうが――
 ずっとマシなのですね。

 人が誰かに経験の陳述を求めるとき――

 その人は、必ずしも経験の中身を具体的に知りたいのではなくて――
 その経験の陳述を通して、相手の人柄に触れたいのです。

 よって――

 経験の陳述を求められたら――

 安易に経験の勧奨で応じるのは――
 誠実な対応ではありません。