マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「みんな敵」の真意

 ――「誰を味方にしよう?」などというから間違うのだ。みんな敵がいい。

 とは――
 幕末・明治初期の政治家・勝海舟の言葉だそうです。

(なんだ、そりゃ?)
 と呆れる向きもあるかと思いますが――

 よく突き詰められた覚悟のある考えだ、と――
 僕は感じます。 

 勝海舟の真意は、どこにあったのか――

     *

 ――あいつは敵、こいつは味方

 などといっている人は――
 たぶん何事も成せません。

 自分の周囲の人たちを敵味方に選別すれば――
 必ず自分の周囲で争いが頻発します。

 自分の周囲で争いが頻発していたら――
 大事は成せません。

 では、

 ――みんな味方

 といっている人は――
 どうでしょうか。

 もし――
 自分の周囲の人たちが全て「みんな味方」と思っているのなら――
 きっと巧くいくでしょう。

 大事を成せるに違いありません。

 が――
 そんなことは、たぶん、ありえないでしょう。

 自分一人が「みんな味方」と思うのは勝手ですが――
 自分の周囲の人たち全てに、その思いを共有させることは不可能です。

 自分の周囲の人たち同士には、必ずといってよいほどに、争いがある――あるいは、争いの可能性が内在している――
 それが、人の世です。

 よって――
 例えば、「あいつは敵、こいつは味方」などというよりも――
 あるいは、「みんな味方」などというよりも、

 ――みんな敵

 といっているほうが――
 ずっと無難なのですね。

 勝海舟の真意も――
 たぶん、その辺にあったと感じます。