意識して歩くようにしています。
歩かないと考えられないですから――
よく、
――夜、寝床で考え事をするな。
といいますね。
――考えるなら座って考えろ。
と――
寝床で横になりながらだと、考えがまとまらないばかりか、ときに誤った結論に達することがあるからです。
が、僕は単に座っているだけでは不十分だと思っています。
立って、歩きながら考えるのが一番だと思っています。
講義室の原理というのがあります。
――学生は講師にかなわない。
という話です。
学生は椅子に座っている――講師は黒板の前に立っている――これが原理の根本です。
つまり、人は、
――立っているだけで頭が冴える。
という経験則をいったものなのですね。
これは、実際に黒板の前で話をしてみると、よくわかります。
全く違うのですね。たしかに、頭の回転が速く正確になった感じがするのです。
感じがするだけではありません。
黒板の前で咄嗟に思い付くことというのがあります。そういうことというのは、意外に、その後も長く通用するのですね。
(なんで、あのとき、あんなバカなこと考えたんだろう)
ということがない。
立つだけなく、そこから歩き出せば、鬼に金棒です。
優れた講義をする人の中には、黒板の前を忙しく歩き回っている人がいます。
歩き回ることで、さらに思考が研ぎ澄まされるのでしょう。
考え事をするなら、歩きながらがベストです。
ただし、周囲への注意は怠らずに――
家具にぶつかったり、車にぶつかったりします。