マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「御苦労様」の誤用

 今日、ネットでニュースをみていたら――
「御苦労様」の誤用が目立つようになっているとのことである。

 一般に、

 ――御苦労様でした。

 は目上の人には用いず、

 ――お疲れ様でした。

 を用いることになっているが――
 最近では誤って目上の人に用いるケースが増えてきているらしい。

 僕も、そう習った。

 ――目上の人には「お疲れ様」ですよ。

 と――
 たしか小学生のときに――

 が――
 どうも一概にはいえないのではないか。

 つまり、目上の人に「御苦労様」を使うほうが自然な状況も、あるように思う。

 例えば、目上の人が急用で臨時に職場に入ったときに、

 ――御苦労様です。

 と声をかけるのは、それほど不自然ではない。
 少なくとも、

 ――お疲れ様です。

 は変である。
 すでに、ひと仕事、終わっているかのようだ。

 そういえば――
 元首相の宮沢喜一さんが、1998年に蔵相(後、財相)に就任した際――
 年若の国会議員が、

 ――御苦労様です。

 と声をかけていた場面を、TVでみたように記憶している。
 たしかに、あのような状況では、

 ――お疲れ様です。

 とは、いかなかったに違いない。
 他に声のかけようもなかったのではないか。
 かといって、

 ――御苦労様です。

 に全く違和感がなかったわけでもないが――

 どうも、事は単純ではない。
 言葉の難しさである。

 以前は、

  お疲れ様 → 目上の人に用いる
  御苦労様 → 目上の人には用いない

 と、杓子定規に考えていた。

 が、実は、
(それほど簡単には割り切れない)
 と今では思っている。