最近、朝、同じ電車に乗り合わせる二人組がいる。
女子高生の二人組だ。
着ている制服が同じ――
持っているカバンが同じ――
髪型や体型も似ており、どちらも、それなりに美しいのだが――
この二人、微妙な意味で好対照である。
一人は、端正な顔つきで、黒髪は真っ直ぐ縦に流れ、黒の革靴は底光りしているのに対し――
もう一人は、少し間の抜けた顔つきで、黒髪は若干ゴワゴワしており、黒の革靴は微妙にクスんでいる――
要するに、
――完璧さんと、あと一歩さん――
なのだ。
この二人が、仲良く並んで座っている。
電車に乗って座席につくと――
完璧さんは軽く俯き、目を閉じる。
あと一歩さんはドーナツを取り出し、パクパクと食べ始める。
実にユーモラスである。
こうなると、同じはずの制服やカバンも少し違ってみえる。
完璧さんの制服はカッチリとみえ、あと一歩さんの制服は少しヨレてみえる。
完璧さんのカバンは新品にみえ、あと一歩さんのカバンは10年モノにみえる。
よくみると――
完璧さんの持ち物には汚れがなく、あと一歩さんの持ち物には汚れが目に付く。
仲良く並んで座っているが――
実際は、どうなのだろう?
そういえば――
楽しそうにお喋りをしているところは、みたことがない。
実は、そんなに仲は良くないのかもしれない。
ただ何となく、一緒に通っているだけなのかもしれない。
この二人に、ただ一つの共通点がある。
どちらも、第一ボタンを開け放ち、胸元のリボンを無造作に垂らしているところだ。
完璧さんのほうを矯正したくなるのは、いうまでもない。
もちろん、本当にしたりはしないけれど――