リーダーを2種類に分けるならば――
指導型と調整型とになろう。
指導型というのは、強力なリーダーシップを前面に押し出すタイプであり――
調整型というのは、柔軟なリーダーシップで両脇を固めるタイプである。
「強力なリーダーシップ」というのは――
まず、ビジョンを示し、それを周囲の人々が無理なくフォローできるような環境を整備しようとする姿勢であり――
「柔軟なリーダーシップ」というのは――
まず、周囲の意見に傾聴し、周囲の人々が望んでいる方向性を見極め、それをフォローしていこうとする姿勢である。
どちらも一長一短があり、優劣はつけがたい。
どちらかを絶対的に肯定したり、徹底的に否定したりするのは、非建設的で愚かなことだ。
今、どちらのリーダーシップが必要とされているのか――
組織の置かれている状況が、その組織にとって有効なリーダーシップを示唆する。
にもかからわず――
昨今の日本では――
組織の置かれている状況とは無関係に――
とにかく「強力なリーダーシップ」ばかりがもてはやされ、「柔軟なリーダーシップ」は煙たがられている。
「柔軟なリーダーシップ」が、従来の日本のリーダーに好まれ過ぎていた反動であろうか。
もとより――
「強力なリーダーシップ」にも「柔軟」性は必要だし、「柔軟なリーダーシップ」にも「強力」性は必要だ。
昨今の日本で「柔軟なリーダーシップ」が疎まれ始めた背景には、その「強力」性の希薄化が挙げられよう。
が、そうした均衡措置は小事にすぎない。
体切なのは、組織の現状だ。
例えば、次の総理大臣は誰が良いか、ということを考えるときには――
日本国を一つの組織とみなし、この組織が今、どういう状況に置かれているかを、真剣に吟味しなければならない。
どちらのリーダーシップが優れているか、という議論は――
はっきりいえば、無意味である。