男女のことは――
どうあがいてみても――
とうてい制御されうるものではない。
男が女を欲するときも――
女が男を容れるときも――
そこに――
何か明確な原理があるわけではない。
いや――
原理はあるかもしれないが――
いや――
たぶん、あるに違いないが――
それは――
男にとっても女にとっても、永久に解き明かせぬことのように思う。
だから――
男も女も、結局は、闇雲に突っ走るしかないのだ。
ただ闇雲に突っ走ることによって初めて――
男女のことは成る。
もしかしたら――
男が男をやめて人間に戻るなら――
あるいは――
女も女をやめて人間に戻るなら――
男女のことにまつわる原理も、多少は明らかになるかもしれない。
が――
男をやめた人間と女をやめた人間との間に、はたして――
男女のことが成りうるものであろうか。
仮に何事かが成ったとしても――
それは、たぶん男女のこととは別種の何か、であろう。
本当は――
その「別種の何か」のほうが、人間としては、幾重にも重要であったりする。
男女のことは――
所詮、かりそめにすぎない。
保(も)って数年である。
10年も20年も継続しうることではない。