マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

本当のおカネ持ち

 おカネ持ちというのは、おカネをバンバン使う人たちのことをいうようですが――
 本当のおカネ持ちというのは、おカネを使うことには大して興味がないと思うのです。

 使うことだけではありませんよ。
 稼ぐことにも、そんなに興味はない――

 使うことに興味がないから、稼ぐことにも興味がないわけです。

 おカネをバンバン使うことの比喩に、

 ――湯水の如く

 という慣用句がありますね。
 まさに、いいえて妙です。

 湯水を使うことや湯水を手にすることは、通常、ごく当たり前のことなので、誰も、これといった興味は持ちません。
 興味を持つのは、何らかの事情で、湯水を手にしにくくなっている人たちです。
 例えば、災害や戦災などに見舞われた人たちとか――

 おカネも同じです。
 何らかの事情で、おカネを手にしにくくなっている人たちが、おカネの使い方や稼ぎ方に興味を持っている――

 おカネをバンバン使うことに快感を覚えている人は、それだけおカネを使うことに興味を持っているのでしょうから――
 たぶん、本当のおカネ持ちとはいえないでしょう。

 おカネをバンバン使う人が、しばしば多額の借金を抱えていることは――
 別に不思議なことではないのです。