比喩には直喩と隠喩とがありますね。
「明喩」や「暗喩」といったりもします。
直喩とは、「……のように」や「……のごとく」などの文言を用いる比喩で、
――時は金のごとく――
などといいます。
一報、隠喩とは、そのような文言を用いない比喩で、
――時は金なり。
などといいます。
この直喩や隠喩――
以前は、隠喩を用いるほうが高級だと思っていました。
が――
最近、感じ方が変わってきています。
むしろ、直喩のほうが、高級なのではないか、と――
どういうことかといいますと――
以前は、「……のようだ」や「……のごとく」などの、あからさまな表現を使わないで表すほうが、ずっと難しいと思っていたわけですが、実は、そうではなく――
それらの文言が、あからさまに感じられないように、さりげなく書き込んで表すことのほうが、ずっと難しいのではないかと、思うようになったのです。
目立つものを覆い隠すよりは、目立つものを設(しつら)え直すほうが、ずっと高級ではないでしょうか。