マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「十分」と「充分」と

 ――十分

 と、

 ――充分

 と――
 皆さんは、どちらを使われるでしょうか。

 辞書などをみると、どちらも同じ意味で用いられることになっていて――
 どちらを用いるかは、純粋に個人の好みでよいようです。

 とはいえ、「十分」は「十」という数を表す言葉が入っていることから、数値化できる事柄にあて、「充分」は「充実」とか「充足」といった言葉からの類推で、数値化できない事柄――例えば、精神的に満たされるか満たされないかといった事柄――にあてると解釈している人が少なくないようです。

 僕は、一律に「十分」を使っているのですが――
 では、なぜ「充分」を使わないのかと問われても、きちんとした返事はできません。

 が――
 どこかで明確に割り切ってはいますね。

 つまり――
 人が、ある事柄について「じゅうぶん」か「じゅうぶんでない」かを考えるとき(あるいは、感じるとき)に――
 たとえ数値化できないことであっても、強引に数値化して考えている(あるいは、感じている)と――
 それが、人の心のクセである、と――

 精神的に「じゅうぶん」に満たされるような場合であっても――

 例えば――
 精神の比喩として、何か容器のようなものを思い浮かべ――
 さらに、願望や欲求の比喩として、何か液体のようなものを思い浮かべ――
 それら液体が容器いっぱいに注ぎこまれたことを称して、

 ――満たされた。

 と、みなしているように思います。