人は歳をとると――
しだいに理より情を重視するようになるといわれています。
もちろん――
人は、子供の頃は、ほとんど情だけで生きていますから――
つまり――
人は、その一生の中で、
情 → 理 → 情
と、情へ回帰していくことになります。
幼年期から青年期に入り――
理の威力を目の当たりにし――
中年期に入って――
その活用の手法を覚え、その効能を存分に享受し始める頃には――
情の美点に気づき始め――
やがて、老年期に至って――
その優美さや哀愁や荘厳さを噛み締めるようになる――
幼年期には少しもわからなかった情の美点の輝きを――
情への回帰を意識するとき――
人は、本当の意味で、老境にさしかかるのだと思います。