――人は、戦争を知るために、戦争を起こし、戦争の実際を体験しておく必要がある。
という命題を見聞きして、
――そんなバカな!
と思う向きは――
決して珍しくないと思うのですが、
――人は、恋愛を知るために、恋愛を始め、恋愛の実際を体験しておく必要がある。
という命題を見聞きして、
――そんなバカな!
と思う向きは――
けっこう珍しいと思うのです。
きのうの『道草日記』で――
僕が、
――恋愛も戦争も、情と理とのせめぎあいである。
と述べて――
あたかも恋愛と戦争とが同じ題材であるかのように装ったのは――
そんな問題意識を抱えていたからでした。
……
……
理の“枠”を歪めて情の“淵”に沈むことの危険性を指摘するつもりでした。
理の“枠”を歪めるとは――
誤った事実認定のもとに、不自然な論理構築を行うことで――
情の“淵”に沈むとは――
一時の感情にかられ、取り返しのつかない行動に出ることです。