――ヒトは、だいたい今から3万~10万年に起こったと考えられる“人らしい社会性の獲得”以降、それに匹敵しうるような劇的な進化を、まだ遂げていないのではないか。
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました、
では――
その来たるべき“劇的な進化”は――
どのような内容になるのでしょうか。
つまり――
“人らしい社会性の獲得”に匹敵しうる“劇的な進化”の具体的な内容です。
……
……
おそらく――
それは、
――何らかの性質――とりわけ精神的な性質――の獲得
でしょう。
そして――
その性質は、少なくとも僕らにとっては、
――人らしからぬ性質
であるはずです。
そのような性質として――
どのようなものが考えられるでしょうか。
……
……
すぐに思い浮かぶのは、
――人らしからぬ厳密性の獲得
です。
例えば――
記号や数値の操作が、それなりに膨大かつ緻密に行えるようになる――多言語間の情報変換が容易になるとか、非線形関数の定量把握が可能になるとか――
あるいは――
思考の展開や知覚の処理を感情の影響から切り離せるようになる――気分に左右されずに論理を組み立てるとか、情動に左右されずに判断を下せるとか――
……
……
すぐにお気づきのように――
こうした性質は――
すでに人工知能によって、少なくとも部分的には、達成をされています。
人らしからぬ厳密性を備えた人工知能は――
今後、ますます高度化され、洗練化されていくでしょう。
そうした人工知能と長く、広く、深く関係を保っていく中で――
ヒトは、おそらくは知らず知らずのうちに、“人らしからぬ厳密性の獲得”を遂げていくのではないでしょうか。
もう少し踏み込んでいえば――
人らしからぬ性質をより強く備え始めた個体が、より多くの子孫を残しやすくなることによって――
そのような性質を備え損ねた個体が徐々に数を減少をしていくのではないか――つまり、自然に淘汰をされていくのではないか――
ということです。