脳を含む神経系について、
――“配線”の乱れ
の実態の殆ど全てを、21世紀序盤に生きる僕らは、まだ知らない――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
今後、
――配線
の実態が明らかになるにつれて、
――“配線”の乱れ
の実態も明らかになり――
その乱れ方が細かく分類をされていくであろう、と――
……
……
つまり――
23世紀や24世紀の精神医療の現場では、
――“配線”の乱れ
の様式が記録として網羅的に貯蔵をされていて――
医師は、目の前の患者の“配線”の乱れ方を調べた上で、その乱れ方が、どの様式に類似をしているかを、電算機の類いを用いて弾き出す――
という作業をしているかもしれません。
そして――
その乱れ方の様式に見合った治療方法が一意的に確定をされていく――
そうなると――
精神医療の仕事も、いつか人工知能に取って代わられる可能性が無視をできなくなります。
……
……
今のところ、
とみなされています。
そうした認識が説得力を備えている理由は、
――病的な体験
の原因がよくわかっていないからに他なりません。
――病的な体験
というのが――
結局は、
――“配線”の乱れ
に起因をしている――
ということが、ひとたび明確になってしまえば――
そして――
それは、おそらくは人々の不幸ではありません。
むしろ、幸福ではないでしょうか。
人は、自分の心の中を誰か他の人に覗かれるのが、そんなに好きではありません。
が――
自分の心の中を人工知能によって覗かれる分には――
もちろん、その人の人工知能に対する理解の確かさにもよりますが――
おそらく、そんなには気にならない――
……
……
そんなに暗澹とはしていないでしょう。