衆議院が解散されて――
最近、
――選挙は戦争だ!
といった論調が散見されるようになりました。
(どこが戦争なんだ……)
と――
僕は思うのです。
もちろん――
民主主義社会における選挙の役割を「戦争」の比喩で表す意図はわかります。
民主主義社会でない社会では――例えば、専制主義社会では――政権首班の決定は、通常、武力による権力闘争――つまり、戦争――によって行われますから――
が――
戦争の最大の特徴は、無数の人殺しが行われるということと実際的なルールがないということとの2つです。
選挙では、人殺しは行われません。
また、厳然たるルールがあります――ルールが細かく破られることは多々ありますが――
効率の観点から、無数の人殺しが行われ、そこには実際的なルールが何もない――
それが戦争です。
もちろん――
武器の使用を部分的に制限したり、人権に配慮して捕虜を扱ったり――といったルールがないことはないのですが――
そうしたルールに違反しても、特段それを裁く仕組みはないのですよね。
つまり、
――何でもあり。
が戦争なのです。
選挙は違います――「何でもあり」ではありません。
もし「何でもあり」でやったら――
たしかに、それは戦争でしょう。
が、そんなものは選挙ではありません。