マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

それは、多分かなり不幸なこと

 ヒトの体のことは――
 ひとたび気にかけようと思ったら、これ以上ないくらいに気になるものですが――
 気にかけようと思わなかったら、まったく気にならないものなのですね。

 自分の健康が保たれていて、これといった不快な症状はなく――
 また、身近な家族にも、同じような問題が生じていないのなら――
 ヒトの体のことは、まず意識にのぼらないのです。

 が――
 ひとたび自分の健康が損なわれ、かなり不快な症状が続いたり――
 あるいは、身近な家族に、同じような問題が生じていれば――
 ヒトの体のことが、にわかに意識にのぼるようになります。

 不調になって、その取り扱いがヒドく厄介になって初めて――
 ヒトの体は注意や関心の対象となります。

 が、残念ながら――
 そうなったときには――
 すでに手遅れになっていることも多いのですね。

 体が不調になって、つらい思いをしているときには――
 すでに、体のことに注意や関心を払う余裕がなくなっていることも、少なくありません。

 本来なら、体のことが、すごく気になるはずなのに――
 まったく気にかけることができない――

 それは、多分かなり不幸なことですが――
 世に広く知られた不幸ではありません。