国家の元首や政権の首班を――
例えば、会社の経営者を決めるように――
自由に決めるのなら――
その国は、国際社会の競争に強くなるでしょう――
経営者を自由に決める会社が市場の競争に強くなるように――
が――
実際の国家や政権は、多くの場合、元首や首班を自由に決めることはできません。
例えば――
民主主義の国ないし民主主義的な国では、選挙で決めますよね。
この場合――
選挙で有権者に支持される能力が、国家や政権を運営する能力に優先されます。
一方――
専制主義の国ないし専制主義的な国では、そもそも元首や首班になりうる人物が最初から一握りに限られています。
例えば、現職の元首の家族や親族ないし知己といった“一握り”です。
この場合――
その“一握り”の中に入っているか否かという条件が、国家や政権を運営する能力に優先されます。
よって――
もし、国際社会の競争に強くなるために、国家の元首や政権の首班を選ぶのであれば――
民主主義の国であろうと、専制主義の国であろうと――
あるいは――
民主主義的な国であろうと専制主義的な国であろうと――
少なくとも理想論的には――
以下のような結論に至ります。
すなわち――
選挙で有権者に支持される能力とは無関係に――
国家や政権を運営する能力に秀でた人物を――
“一握り”の中からではなく――
その国に住む全員の中から――
公明正大に選ぶ――
……
……
もちろん――
現実論的には――
それは無理なので――
妥協がなされます。
その妥協のために――
たいていは以下の2つの前提のいずれかが採用されます。
すなわち、
1)選挙で有権者に支持される能力に秀でた者は、国家や政権を運営する能力にも秀でている。
という前提――
もしくは、
2)現職の元首の一族や知己の中には、国家や政権を運営する能力に秀でた者が必ずいる。
という前提です。
どちらの前提も――
容易には受け入れられない前提ですが――
もし、どちらの前提も退け、妥協を拒むのなら――
おそらく――
国際社会の競争に勝ち残ることを、国として、諦めなければなりません。
それは、それで――
一つの見識かとは思いますが――
今後――
国際社会の競争が血生臭さを帯びていくなら――
そう簡単に踏ん切れることでもないでしょう。