マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「戦国武将型民主主義」――異形の言葉

 ――戦国武将型民主主義

 という言葉を知りました。

(面白い言い方だな)
 と思いました。

 湯浅誠さん――2008年の“年越し派遣村”で有名な社会活動家――が、橋下徹さん(大阪市長)の政治信条を評するのに考案された造語のようです。

 ――戦国武将型

 というのは――
 権謀術数の戦国武将が殺すか殺されるかで相争った様子を指しています。

 選挙を“戦(いくさ)”になぞらえて、“戦”で敗れた者は身を引く――
 ただし、命まではとられないところが実際の戦国武将とは違うところです。

 相争う様子は戦国武将そっくりだけれど、“戦”の敗者は決して命をとられることがない――
 選挙の結果を尊重し、実際の殺し合いをしないという意味において、あくまでも民主主義の一種ないし亜型である――
 それゆえの、

 ――戦国武将型民主主義

 なのですね。

 社会科学の立場では、そのような民主主義は「民主主義の亜型」とも呼べない代物だそうですが――
 実際、政治家の多くが、選挙を“戦”になぞらえ、自身を“戦国武将”に喩えているのは事実のようですから――
 こういう言い回しは、
(ありだな)
 と――
 僕は思います。

 少なくとも、中学校の社会科の「戦国武将」や「民主主義」を知っていれば――
 たちどころに理解できる概念です。

 着目すべきは、「戦国武将」も「民主主義」も、ありふれた言葉なのに――
 双方が「型」を介して連結された途端、異形の言葉に早変わりするところでしょう。